昨日の欧米市場
注目された米雇用統計が市場予想を上回ったことにより、米経済の底堅い成長が世界経済にも及ぶとの観測が台頭し、株高/ドル買いの展開へ。英FTSE100は資源株の上昇に牽引され、5900のライン手前まで上昇。米SPX500は5週連続の続伸で年初来高値を更新、ウォール街株価指数もリーマンショック前の水準まで回復した。株式市場でのリスクテイクは商品市場へも波及し、金価格はドル高にも関わらず1400ドルに迫る勢いを見せた。NY原油先物(12月限)も5日続伸し、一時87ドル台を記録する展開へ。
一方の為替市場では、同統計発表前から断続的なドル買いが見られたが、堅調な内容が確認されると対主要国通貨でドル買い圧力が強まった。ユーロドルは1.40半ばを割り込み、ドル円は81.50手前まで上昇。ドル買い基調が継続したまま週明けのアジア時間を迎えようとしている。
本日の主要経済指標
・14:00 日本:9月景気一致CI指数(速報値)
・14:00 日本:9月景気先行CI指数(速報値)
・15:45 スイス:10月失業率
・16:00 ドイツ:9月経常収支
・16:00 ドイツ:9月貿易収支
・20:00 ドイツ:9月鉱工業生産
・22:15 カナダ:10月住宅着工件数
・27:00 米国:3年債入札(320億ドル)
要人発言
・23:00 ユーロ圏:ユンケル:ユーログループ議長の発言
・25:30 米国:ブラード・セントルイス連銀総裁講演
・27:00 米国:フィッシャー・ダラス連銀総裁講演
・29:30 米国:ウォルシュFRB理事講演
アジア時間の見通し
10月の米雇用統計は市場予想を上回る強い内容となったが、先週発表されたISM製造業/非製造業の伸びも米株高とドルの買い戻し要因となっている点は見逃せない。週明けのアジア株式市場は、これら米経済指標に裏打ちされた投資家のリスク許容度拡大と米量的緩和第二弾への期待感を背景に、更に上値を試す展開となるかが注目される。
日本225種は9700円を視野に入れた展開となっているが、今年高値/安値の38.20%戻し9740円台を突破するかが今日の上値ポイントとなりそうだ。
国内企業決算がピークを超えた現状を考えると、市場の関心はマクロ面、特に為替への動向により注目が集まるだろう。日本225種の動向を左右するドル円を見ると、80円台での底堅さが徐々に市場で認識されつつある。目先の想定レンジは80.00-82.00。海外要因では米量的緩和第二弾による流動性相場持続に対する期待感と好調な経済指標、国内要因では82.00以上での本邦実需筋の分厚い売りと80.00付近での根強い介入観測に挟まれており、引き続き動き難い状況となっている。本日のアジア時間では、このレンジをブレイクするようなインパクトのある材料は、ユーロの急激な変動以外特段見当たらない。
そのユーロだが、特に市場の関心が集まるのはユーロドルの動きだろう。
米金融緩和を受けユーロは対ドルで一時1.4282まで急騰しており、これを受けユーロ諸国では不満が高まっている。また、ユーロ高の裏には常に欧州財政問題が隠れていることも忘れてはならないだろう。なぜなら先週末のドイツ10年債とギリシャ10年債の利回り格差は927bpまで拡大したことでも、市場の不安心理が窺えるからだ。これらを理由に、シカゴIMM通貨ポジションで積み上がっているドルショートとユーロロングのポジションをアンワインドする動きが強まることも否定はできない。その際の下値のポイントは1.40の心理的ラインだろう。このレベルでサポートされるようならポジション調整の範囲内との観測から、将来の金利差拡大を見込んだユーロ買い/ドル売りトレンドは継続すると思われる。そうなれば、ドル円も上述のボックスレンジが継続する可能性が高まる。
しかし、思わぬオーバーシュート(ユーロ売り)により1.40を一気にブレイクするようだとその余波はドル円へも波及し、82.00をブレイクする可能性も出てくる。このため、週明けのアジア為替市場では、まずユーロドルの動きに注視したい。