日本各地の名産物を1つの店舗で
日本は変化に富んだ気候と多種多様な地形のおかげで、各地に様々な名産物がある。日本各地を巡って味紀行ができればいいのだが、なかなかそういうわけにもいかない。
東京・丸の内にある丸の内ビルディング内に今年3月オープンした「Brasserie & Wine cafe Buzz(バズ)」は、「旅するブラッスリー」がテーマ。シェフ自ら日本各地に出向き、現地で選りすぐった食材を使うブラッスリーだ。もちろんその料理との相性を考えた世界各地のワインも、ソムリエが厳選したものが楽しめる。
12月末までは岩手をピックアップ
12月末までは岩手県をピックアップし、岩手県産の食材を使ったメニューを多数用意している。「岩手県は、実は北海道に次いで2番目に広い県で、食料自給率が100%を越えるという豊かな土地。畜産業も盛んで、三浦海岸沖をはじめ豊かな漁場も多々あり、魚貝類も豊富です」とのこと。そんな岩手県の県庁の協力を得て、総料理長・小藤憲行さんが自ら現地の生産者のところを巡り、県外ではなかなか食べられない旬の食材を仕入れることに成功した。
食材についても詳しく学んだ小藤シェフは、岩手県産の食材の特色をいかしつつ新たなフレンチの創造に取り組んでいる。例えば「岩手単角牛のグリル、ナッツとエシャロットのボルドー風」(3,000円)では、岩手県産の旨みのある短角牛グリルに、岩手県遠野市産の暮坪カブのすりおろしをアクセントとした赤ワインソースを合わせる。その他にも、岩手名産の雑穀とフォアグラを合わせて贅沢に仕上げた「岩手花巻の七穀のリゾットとフォアグラのソテー、ナージュ仕立て」(1,800円)、秋には欠かせないサンマを使った「岩手宮古港から直送の秋刀魚の甘酸っぱいシードルマリネ 紫キャベツと林檎のヴィオレットサラダ」(1,400円)など、旬の岩手県食材を使った料理が並ぶ。
またドリンクでは、岩手県の有名蔵元・南部美人が今年新たに開発した砂糖や甘味料を一切使わず純米酒と梅だけで造った梅酒「南部美人糖類無添加梅酒」をワイングラスで提供し、フレンチとの新たなマッチングも提案する。
さらに店内にも"旅"気分を高めるための工夫が。岩手県在住の写真家・奥山淳志さんの作品が展示されている。岩手の人々や風景などを写した写真からは、素朴な風土が感じられ、まさに視覚でも旅気分を味わうことができる。同店では、12月以降にも全国各地の"旅メニュー"を提供予定。味紀行を楽しんでみては?