空港での検疫にコンサートやイベントの中止…と大変な騒動となった昨年の新型インフルエンザの流行。ようやく終息した……とほっとしたのはつい最近だった気がするが、暦をみればもう11月。インフルエンザシーズンの到来だ。今のうちにインフルエンザの最新事情や予防法を確認しておこう。キャドバリー・ジャパンがこのほど開催した「キシリクリスタル」プレスセミナーに参加し、専門家の話を聞いてきた。
あの怖い鳥インフルエンザが「ヒト型」に近づいてきている
昨年の新型インフルエンザ(H1N1型)の流行で記憶が薄れた人も多いかもしれないが、2004年から08年ごろにかけて大きな問題となっていたのが高病原性鳥インフルエンザ(H5N1型)。元国立感染症研究所研究員、21世紀政策研究所の岡田晴恵先生は、このH5N1型インフルエンザについて「今もジワジワと感染が拡大している。今年来るか、来年来るか、10年後来るかはわからないが、リスクが高まっていることを知ってほしい」と話した。
H5N1型のインフルエンザが特に恐れられているのはなぜなのか? 岡田先生によると、もっとも大きな特徴は全身感染するという点。H1N1型などの弱毒のインフルエンザでは、感染はのどなどの上気道にとどまるが、強毒性のH5N1型では、ウイルスが血管のなかに入り、さまざまな臓器に広がる。そのため致死率は非常に高いと言われている。 「新型インフルエンザ」に変異した場合には5~15%、または20%を想定しているという。この怖いウイルス、現在「鳥の中で感染を広げ、東南アジアだけでなくアフリカや中東まで広がっている」とのこと。実はヒト型に近づきつつあるといわれているそうだ。岡田先生は「全身感染するインフルエンザがヒト型になろうとしている。そのことを頭の片隅で覚えておいてほしい」と呼び掛けた。
岡田先生はインフルエンザの感染経路と予防策についても説明。せきをする人は必ずマスクをすることが重要で、あめでのどを潤すのもせきを止めるのによいそうだ。電車内やオフィスなどの乾燥した空間では、せきをして放たれたウイルスの周りの鼻水や唾液などが乾燥して空気中にぷかぷかする状況が起きやすい。加湿をしたり、窓を開けたりして空気を入れ替えよう。もちろん手洗いも大事だ。
カラオケ好きは要注意! 鼻呼吸でのどは乾燥する
のどの乾燥予防について話してくれたのは、耳鼻科専門医で東京ボイスクリニック品川耳鼻いんこう科院長の楠山敏行先生。楠山先生によると、気道粘膜には線毛という非常に細い毛がすきまなく生え、さらに粘液で覆われている。粘液が病原菌を捕捉し線毛運動が病原菌を粘液ごと排除している。乾燥すると、このベルトコンベアーのような機能が弱まり、その結果、ウイルスや細菌への感染リスクが高まるという。
注目したいのは口呼吸がのどの乾燥につながるということ。鼻呼吸の場合は、鼻がフィルター役と加湿・加温の役割を果たし、入ってくる空気をクリーンかつ適度な湿度と温度に調整するが、口呼吸では乾燥した空気と汚れた空気が直接のどに入ってしまう。最近は鼻アレルギー患者の増加もあり口呼吸の人が増えているという。
「鼻アレルギーや鼻づまりなどはないから」と安心するのは早い。日常生活のなかでも口呼吸している場面は多いという。鼻呼吸に比べ、口呼吸は5~6倍の吸気量が得られる。そのため、歌を歌っているときや運動のときは自然に口呼吸をしているのだ。「声がかすれたらのどに潤いをあげるというのが大事」と楠山先生。保温・保湿効果があるマスクをする、温かい飲み物などで湯気を吸い込んでのどを加温・加湿する、のど飴を意識してなめるなどで、のどの乾燥を防ごう。
絶対湿度をチェックして、のどの乾燥予防を
最後に登場したのはわかりやすいお天気解説でおなじみの気象予報士森田正光氏。この冬の気候から「湿度」の捉え方まで、ユニークな切り口でのどの乾燥対策について話してくれた。
まず気になるのが今年の冬の寒さ。森田氏はまず現在発生中のラニーニャ現象(ペルー沖の広い海域の海水温が平年よりも低くなる現象)のメカニズムと天候との関係を解説。ラニーニャ現象が発生している年は夏が暑く、冬は寒くなる傾向がみられるといい、「冬の訪れが早くなり、寒くなるのでは」と"予報"してくれた。ちなみに冬の気圧配置をみたときに日本列島に縦の等圧線が5本以上あれば、日本海側で大雪が降るような「冬型」と考えていいそうだ。
森田氏は、「絶対湿度」についても説明した。ふだん天気予報などでわたしたちが耳にしている湿度というのは「相対湿度」のことで、気温に関係なく空気中の水蒸気量と、その時の温度で空気が含み得る最大限の水蒸気量(=飽和水蒸気量)との比率を指す。一方「絶対湿度は1立方メートルの空気中に含まれる水蒸気の量をグラム単位で表したもの。森田氏によると、のどの乾燥予防のための指標としては相対湿度より絶対湿度を使うべきで、「のどの防御機能は絶対湿度が11g/m3を下回ると低下し、ウイルスの感染リスクも高まる」と話した。
森田氏とキャドバリー・ジャパンは、この絶対湿度からのどの乾燥度合いを指数化した予報「のどカラ2予報」をHP上で発表している。全国9都市の最新ののどの乾燥レベル(5段階)を1時間ごとに更新している。森田氏は「空気が乾燥しやすい冬はぜひ『のどカラ2予報』をチェックして、のどの乾燥予防を心がけてください」とアピールした。
キャドバリー・ジャパンからは、健康管理に役立つ情報を提供することで、身近なキャンディを使った手軽なヘルスケアを生活に取り入れてもらいたいという「のどカラ2予報」の開発経緯の説明と、11月1日発売のシュガーレスキャンディ「キシリクリスタル」シリーズの新フレーバー「キシリクリスタル 焦がしキャラメル&カフェ」(期間限定)と「キシリクリスタル いちごミルクのど飴」の紹介があった。のどの乾燥する季節にぴったりの甘くて濃厚な味わいに仕上がっているそうなので、ぜひ試してみては?