アジア時間
アジア時間序盤は、米中間選挙・FOMCを控えて模様眺めの展開となり、株式市場も調整の動きでやや軟調な地合いとなり、為替市場ではドル円は前日のもどき介入観測で80円台後半のもみ合いとなった。その後、クロス円からの買いが入ったことで、ユーロ円など他のクロス円も海外時間安値からやや反発した展開となったが、対円の展開よりは欧州通貨・AUD(豪ドル)などが堅調に推移した。
その後、市場で30%程度しか織り込まれていなかった(短期金利市場でもその程度の織り込み度合い)RBA理事会において、政策金利を0.25%引き上げて、4.75%と発表した。市場にとってもサプライズの展開となり、対ドルでパリティー目前まで上昇し、対円では80円台を回復した。 他のクロスにおいても豪ドルは堅調に推移したことで、ユーロやNZの対ドルの上昇はやや限定的となった。
本日の主要経済指標
・17:15 スイス:9月実質小売売上高(前年比)
・17:55 ドイツ:10月PMI製造業(確報値)
・18:00 ユーロ圏:10月PMI製造業(確報値)
・18:30 英国:10月PMI建設業
・19:00 南ア:10月Naamsa自動車販売
欧米時間の見通し
RBAの政策金利引き上げに関しては、サプライズ的な受け止め方を市場ではしている。しかし、声明内容を見ると、これまでの様子見のスタンスを内外要因いずれにおいても物価安定ではなく、上昇圧力がかかる可能性があるというスタンスに転換しており、予防的な利上げサイクルの再開にシナリオ変更になったと市場に対してメッセージを送ったと見るべきであろうか。
また、現状の豪ドルのパリティー付近での推移に関しては、当局もそれほど警戒感を持っていない。もちろん、本日以降の2大イベント(中間選挙、FOMC)を控えて利益確定の動きが出てくる可能性はあろうが、RBAの結果を受けては、押し目を拾う思考が優勢と見られる。
現状では、次回の理事会において再利上げの可能性があると見る向きは少ないが、市場では利上げ余地としてまだ1.75%程度あるとみており、今後のオーストラリア及び中国の経済指標に注目しておきたい。 こういった中、注目されるFOMCの量的緩和に関して、PIMCOのグロース氏が非伝統的な金融緩和措置をつつけた場合、ドルは今後数年間で20%下落する恐れがある、との見解を示している。市場において国債買い入れ金額に関して5,000億ドルを基準としてFRBの慎重姿勢を推し量るような展開となっているが、それ如何によってはリスクがあることを警告していると思われる。
また、基軸通貨として、さらに米国への投資魅力としての減少を危惧しており、米国から他の国・地域へのさらなる資本シフトが今後促される可能性があることも、指摘している。もちろん、米経済の回復度合い次第とはいえ、米経済に対する見方の変化の一つであり、中長期的なドルの回復という視点で見れば、大幅なドルの反発地合いは資本フロー面を考慮すれば、水準的な過剰な期待感は持たないほうが良いということであろうか。
いずれにせよ、市場の米金利低下に対して、今週金曜日の雇用統計を含めて中間選挙の焦点でもある労働環境の改善が見られれば、ドルのサポート要因ともなるのだが。
FOMC前ということもあり、当面はリスク思考と米金利の展開次第なので、株式市場・為替市場ともにもみ合いの展開となろうか。
ドル円で見れば、前回介入後からの下落トレンドに加えて、調整ポイント・反落高値ポイントをきっちりと超えて、上値の売り興味を吸収していくような展開とならない限り、79.75-80.00を割り込む可能性は依然として残されていると想定しておきたい。