富士通がWeb限定で販売している「LIFEBOOK SH760/BN」の特別カラー「マジョーラ」。見る角度によって虹色に変化する不思議な色の特性と、PCのボディカラーに採用した意図について、富士通と今回製品化に協力した日本ペイントの担当者に話を聞いた。
マジョーラが誕生したのは1998年だ。レーシングカーに採用され、大きな曲面に現れる未来的な虹色が大きなインパクトを与えた。その後、この色に憧れる人たちが手持ちのスポーツカーをマジョーラカラーに塗り替えるなど、「元気な車の色」としてブランドとともに使われた。
「以前は大きく色変化を起こすカラーのみだったため、レースやスポーツタイプの車などで注目されましたが、今では漆の質感を再現できる塗料として、皇室の御用列車の塗装にも採用されています」と語るのは、マジョーラ塗料の開発・企画を手がける日本ペイント デザインセンター 副所長である清水慶司氏だ。
1粒ごとが5層構造となっている顔料フレークは、塗料の中でさまざまな方向を向いて定着される。これに光が当たると規則的な波長が発生し、色の変化が現れるというのがマジョーラの色変化メカニズムだ。素材そのものに色はなく透明だが、光の当たり方で色が出てくる。これは「構造色」と呼ばれ、シャボン玉や蝶々の羽の色と同じ仕組みだという。
この顔料フレークは海外で開発されており、特に紙幣などの偽造防止技術での採用例が多い。日本では2,000円札の肩にある「2000」という数字がこの技術で印刷されている。このフレークから塗料を作っているのが日本ペイントなのだ(注:偽造防止用と塗料用は異なる材料)。