昨日の海外市場
スイス金融大手UBS(UBSN.VX)の第3四半期決算で投資銀行部門が赤字に転落したことが判明し、欧州株は軒並み下落した。そしてこの影響はNYタイムへも波及。米企業の冴えない決算やドル高も重なり米株全体も上値の重い状況となった。ただ、米金融緩和への期待感は根強くウォール街株価指数、SPX500共に底堅い状況は継続した。
一方、注目の為替市場ではドルの買い戻し圧力が強まった。
欧米株式が上値を抑えられたことでリスク回避姿勢が強まったこと、そしてユーロドルで1.40が相変わらずレジスタンスとして意識されている点が材料視された模様。対ユーロで1.3826、対豪ドルで0.9815そして対円では81.66レベルまでドルショートカバーが進んだ。朝方の動向を見ると、再びドル売り基調へ転じるムードとなってはいるが、大きな値動きは見られずアジア時間を迎えようとしている。
本日の主要経済指標
・09:30 豪・3Q消費者物価
・11:00 NZ・10月NBNZ企業信頼感
・18:30 南ア・9月消費者物価指数
・20:00 米国・MBA住宅ローン申請指数
・21:30 米・9月耐久財受注
・23:00 米・9月新築住宅販売件数
・23:30 米国・週間原油在庫
・時間未定 ドイツ:消費者物価指数
要人発言
・09:00 日本:西村日銀副総裁の発言
・18:20 英国:ビーンBOE副総裁の発言
・29:00 米国:ダドリーNY連銀総裁、地域経済の状況について講演
・29:15 カナダ:カーニーBOC総裁の発言
決算発表
・時間未定 ドイツ銀行(DBKGn.DE)
アジア時間
前日の米株が底堅い値動きを見せたことは、アジア株式の下支え要因となる可能性はある。実際、朝方(7:00)の香港HS株価指数は相変わらず23500をサポートに根強い買いに支えられている。また、日本225種も9350レベルがサポートポイントとして意識されている状況に変化は見られない。
ただ、ドル安によりこれまで高リスク資産へ流入していた資金が、今回のドル買い戻しを受け細る可能性がある点は注意したい。特に11月の決算期を控え、流動性を確保しようとするヘッジファンドがポジションを手仕舞う動きが活発化することも考えられる。そうなれば、日本225種のみならず、アジア株式全体の上値を抑える要因になる可能性も出てこよう。
なお、米国同様に日本でも企業決算が佳境を迎えており、本日は新日鉄(5401.T)や富士通(6702.T)、キヤノン(7751.T)といった企業の発表が予定されている。市場の関心を集めている為替市場だが、ドルの買い戻し圧力が強まっている。
背景には、米連邦準備制度理事会(FRB)の金融緩和策により、インフレ期待がここにきて強まっていることが挙げられる。また、本日は5年債、明日に7年債の入札が控えているが、入札前の価格引き下げの思惑が強まったことから昨日の米債券市場では利回りが上昇した影響も無視できない。
よって本日はドルの買い戻しがどこまで進むかがポイントだろう。
特にユーロドルと豪ドル/米ドルの動向には注目したい。前者は、1.40がレジスタンスとして意識されているところに米債券利回り上昇も重なり、10月20日以来となる1.38割れの可能性も出ている。また、後者の豪ドル/米ドルでも、テクニカル的に0.99のラインがサポートとして機能しきれておらず、10月19日―20日の安値レベル0.9662を再度トライする状況にとなることも考えられる。特に本日9:30 には3Qの豪消費者物価発表後の値動きには注視したい。市場予想以上の内容なら、豪ドルを下支えする可能性はあるが、ドル買い戻しトレンドが強まっている状況とRBA(豪準備銀行)による来月利上げ期待感が強まっているところに、市場予想を下回る内容となれば失望売りが加速し、0.9662をもブレイクする展開になる可能性も出てくるからだ。
そしてこれらの影響はドル円にも波及する可能性は高く、短期スパンのレジスタンスポイント82.00ブレイクが現実味を帯びてくる。クロス円は、ドル円がどこまで円安へ振れるかで、その方向性が決められる可能性がある。
仮に円相場全体が円安基調へ振れれば、再び9400を突破している日本225種が、9500の節目をトライする可能性が出てくる一方、ユーロドル等の下落により円高へ振れれば、9350サポートにした状況が続くシナリオも考えられる。