FX取引は、株や日経225先物にはなかった広がりを見せている。特に目立つのが専業主婦への広がりだ。だが主婦がFX取引をしているというと、特に投資に縁のない中高年の男性などは、どこか軽視する人もいるかもしれない。しかし、数年にわたって取引を続けている主婦の方は、例外なく"堅実なトレーダー"だ。今回、インタビューに応じてくださった「ウタさん」(仮名、30代前半の専業主婦)も、そんなトレーダーの一人である。

従来の投資、特に株や日経225先物は、中年以上の男性がやるものというイメージが強かった。しかし、FX取引は、若い男性や女性まで、会社員から専業主婦まで、大きな広がりを示している。主婦層にFX取引が広がっている理由について、いろいろな理由が挙げられるが、大きな理由の一つは、「投資スタイルを幅広く選べる点」だ。

例えば、レバレッジを1倍にして、長期保有を念頭に置いたスイングトレードなら、銀行などが盛んに営業している外貨預金とほぼ変わらない。為替リスクはどちらも同じで、FX業者を使えば、ほとんどの業者で取引手数料は今どき0円だ。FXは簡単に低コストでできる外貨預金でもあるのだ。一方で、最大レバレッジ50倍を使った取引では、少しの判断ミスが、大きな損失を招きかねないが、大きな利益を手にするチャンスでもある。

「FXで生計を立てる!」ことを目標に5年計画を策定

今回、インタビューに応じてくださったウタさんが、FXを知ったのは2年ほど前。「まだ勤めをしていたときに、同僚の恋人がFXを始めたという話を聞いたんです。でも、その時はFXってなあに? という感じでした」。ここまではよくある話だが、その後がウタさんは違う。その頃、ウタさんは現在の夫と婚約中で、結婚後子供ができたら、仕事ができなくなる可能性があった。「それで、FXに真面目に取り組んでみようと思い始めたのです」。

今回、インタビューに応じてくださった「ウタさん」(仮名、30代前半の専業主婦)の目標は、「FXで生計を立てる」ことという

そこからウタさんの猛勉強が始まった。市販されているFX本は片っ端から読みあさった。夜はチャートを見て、取引のシミュレーションを行ってみた。「でも、体力的な面でも自己流の勉強にも限界があると感じたんです」。

きちんとした体系的な知識を身につけなければならないと感じたウタさんは、会社を正式に退職して、"FX先生"こと杉田勝氏の「FX基本講座」「FX実践講座」を受講する。講義だけでなく、実際のトレードも行いながら、FXの技術が身につけられるという講座だ。

ウタさんのFXの目標は、FXで生計を立てていくこと。2年前まで「FXってなあに?」といっていたウタさんにとっては、あまりにも高い目標だ。しかし、ウタさんはその目標に到達するのに5年間という時間を設定し、その5年間にどう自分のスキルをステップアップさせていけばいいのか、精密な絵を描いている。

現在は、5年計画のちょうど中間地点。貯蓄の中から100万円をFX投資用に用意し、昨年末頃から1万通貨単位でのFX取引を行っている。現在の利益は月に3万程度。「生計を立てる」にはまだ遠い利益だが、残りの2年半で、ウタさんは10倍、100倍と投資金額を高めていく計画を練っている。

ウタさんのトレード手法ってどんなもの?

では現在、ウタさんは、どんなトレード手法をとっているのだろうか。

ウタさんのトレード姿勢は、自分の生活スタイルを中心に考え、その中でどういうトレードができるかを考えていくものだ。決して、FXが「生活の中心」にはなっていない。

毎日、朝8時ごろに起きると、朝食を食べながらチャートを見る。そこでポジションを取れそうな状況を見つけると、ポジションを入れる。あらかじめ、損切りラインと利益確定ラインを設定した「OCO(One Cancels the Other)注文」を出しておくので、その後は気になったときに、チャートや現在の価格を見るだけ。基本的には何もしない。そして夕方から夜にかけて、結果がどうなったかを確かめるだけだ。チャートに張りついて10銭抜きを目指すスキャルピングもできる時間的余裕がないことはないが、それはやらない。

「スキャルピングだと、私には動きが速すぎて、とても対応できないんです。それに、子供ができたら、FXに割ける時間も少なくなりますから、子育てをしながらでもできるトレード法を身につけたいんです」(ウタさん)。

その結果が、現在のOCO注文によるデイトレードというわけだ。

自らの「生活スタイル」にトレード手法を合わせる

ウタさんが目指しているトレード手法は、「最も利益の上がる手法」とは少し違う。まず初めに、自分の理想の生活スタイルというものがあって、それを崩さない範囲で可能なトレード手法を模索している。それが可能な範囲のトレード手法で、利益を最大化させるために、必要な知識や経験を学んでいくというやり方だ。

ウタさんは、自らのトレード手法を、紙に書いて教えてくれた

例えば、損切りラインも20pipsと決め、利益確定ラインも60pips~80pipsとあらかじめ決めておく。損切りラインの20pipsは、正直かなり狭い方で、ちょっとしたゆらぎで損切りしてしまうこともあるだろう。また、利益確定ラインの60pips~80pipsも、小さくはないが、決して欲張っているわけでもない。利益確定ラインを設定しておかなければ、もっと伸びて、大きな利益をとれることだってあったはずだ。

「利益確定ラインを設定しておかないと、伸びてきた時に、チャートをずっと見て決済のタイミングを計らなければならなくなります。子育てを始めたら、その時間が取れるかどうかわかりません。その時に、赤ちゃんが急にむずかりだしたとしたら、赤ちゃんを放っておくわけにはいきませんが、相場も放っておくわけにいかなくなってしまいます」(ウタさん)。

だから、エントリーは自分でするが、決済は自動的に行われるようにするトレード手法がどうしても必要なのだ。「大きな利益が取れたときはもちろんうれしいですけど、自分のシナリオ通りに相場が動いて、想定した利益がきちんと取れた時の方がもっと気持ちがいいんです」(ウタさん)。

次回は、ウタさんの現在のトレード手法のさらなる詳細と、「FXで生計を立てる!」という目標を実現するための"課題"について、お伺いする。