マイクロソフトの最新OS「Windows 7」が発売されてからちょうど1周年となる10月22日、同社はWindows 7発売1周年を記念した記者会見を開催。Windows 7を中心に、WebサービスのWindows Live、そのクライアントソフトとなるWindows Live Essentials 2010、Office Web Appsを活用して「次のステップに行こうとしている」(代表執行役副社長 堂山昌司氏)状態で、今後さらにWindows 7への移行を促進していきたい考えだ。
会見に参加した(写真左から)米Microsoft Windows Live担当のシニアバイスプレジデントChris Jones氏、Facebook Country Growth Manager児玉太郎氏、ニワンゴ代表取締役社長・杉本誠司氏、マイクロソフト代表執行役副社長 堂山昌司氏 |
堂山副社長は、Windows 7が特に高い満足度を得ている点を強調し、Windows 7とVistaの比較では30%、満足度が向上していると指摘する。使い勝手がいいため、問い合わせの必要がなくなったことから、電話サポートも同比較で60%減少したという。
Windows 7では、正式に日本の地上デジタル放送をサポートしており、地デジPCの発売も増加している。地デジチューナーを搭載したデスクトップPCは、今夏のモデルでは全体の53%を超え、ノートPCでも増加しているという。マイクロソフトではテレビ業界などと協力してWDLC(Windows Digital Lifestyle Consortium)を立ち上げ、地デジPCの普及に取り組んでおり、来年のアナログテレビ放送停波を前に、さらにプロモーションを強化していく計画だ。
Windows 7の新機能であるタッチパネルへの対応機能「Windows Touch」でも、この夏モデルで搭載端末が20%以上になり、対応機種も増えてきた。さまざまなデバイスが登場してきており、Windows 7を取り巻く環境はさらに変化してきている。
その1つのきっかけがクラウド対応の強化だ。もともとマイクロソフトはソフトウェアメーカーとしてWebサービスへの対応が遅れてきた印象もあるが、WebメールサービスのHotmailはすでに12年の実績があり、3億5,000万ユーザーを抱えている。今後、こうしたクラウドサービスとWindows 7との連携を強化していく。
米MicrosoftのWindows Live担当のシニアバイスプレジデントChris Jones氏は、発売後1年でWindows 7の販売ライセンス数が2億4,000万を突破し、これまでのWindows OSの中で最速の売り上げという。Windows 7搭載PCは17%に達し、従来に比べて2倍の速度でシェアを拡大したそうだ。Windows 7の満足度は世界では94%にも達し、これも従来のOSの中では最高とのことだ。
このWindows 7のエクスペリエンスを補完するものとして開発されているのがWindows Liveサービスだ。複数のPCや携帯電話を持っていても、すべてのデバイスで同じデータにアクセスできるような環境を目指しているという。
こうした中で、マイクロソフト単独ではなく、パートナーとの関係も重視しているのはマイクロソフトらしいところだ。会見では、Facebookとニコニコ動画とのパートナーシップが説明された。
Facebookでは、「より多くの人に身近に感じてもらうため」(Facebook Country Growth Manager児玉太郎氏)にマイクロソフトと協力。HotmailやWindows Live EssentialsにFacebookとの連携機能を搭載した。
ニコニコ動画を運営するニワンゴの代表取締役社長・杉本誠司氏は、Windows Live Messengerからニコニコ動画のコンテンツを共有するニコニコメッセやニコニコ動画版Internet Explorer 8で1年以上にわたってマイクロソフトと協力。さらに、今後、Windows Liveフォトギャラリーとムービーメーカー用にニコニコ動画アップロード用プラグインを提供する。「動画を楽しむ人の(ニコニコ動画へのアップロードとという)ハードルが下がることを期待している」(杉本社長)とコメントする。
現在、マイクロソフトは新ブラウザのIE9をベータテストしているが、リリース2日間で200万ダウンロードを達成し、IE8の2.5倍の数ダウンロードされているという。Windows 7に加えてさらにIEが進化し、Windows Liveを組み合わせることで、「10億人にクラウドコンピューティングを届ける」(堂山氏)を目指していく。