インフォテリアは21日、EvernoteやTwitterと連携するiPhone用のカレンダーアプリ「SnapCal」の提供を開始した。21日からApp Storeで配布されており、無償でダウンロードして利用できる。無償版はiAdを導入した広告モデルを採用し、アプリ内課金(115円)で広告を取り除くことができる。

SnapCalの画面

カレンダーとしても充実した機能で、「心地よい操作感」を目指した

SnapCalは、インフォテリアが3月に公開したiPhone用カレンダーアプリ「TwitCal」の後継アプリで、TwitCalユーザーはそのままバージョンアップできる。TwitCalでは、登録した予定をTwitterに投稿ができ、自分のフォロワーに対してイベント情報を通知するといったことが可能だった。

従来まで提供していたTwitCalにパーソナルクラウド連携の強化などを追加して進化した

TwitCal公開当時からEvernoteとの連携が予定されていたが、今回Evernote対応だけでなく、Googleカレンダーとの同期機能を標準搭載するなどの機能を向上させ、別アプリとして公開された。

同社のグローバル事業推進室室長・藤縄智春氏は、今回のバージョンアップについて、「パーソナルクラウドとの連携を強化した」と表現。Evernote、Googleカレンダー、Twitterというクラウドサービスとの連携によってほかにはない機能を実現させた。

藤縄智春氏

具体的には、Googleカレンダーの予定の同期機能をサポート。Googleカレンダーの複数カレンダーもサポートし、相互に予定を同期できる。Evernoteとの連携では、Evernoteに登録されたノートの中から、件名・日時・場所・予定の詳細・画像といった情報を抽出し、iPhoneで表示できる形に整形する機能を搭載。

Evernote連携では、ノート内の日時などの情報を自動取得する。自動取得の精度は高いそうだ

たとえばWebサイトにあるイベント情報をEvernoteのWebクリップ機能を使い、特定のタグを設定して保存すると、インフォテリアのサーバーがそのノート内容を取得。そのノートにある情報をもとに、iPhone向けに予定を作成してくれる。それをSnapCalが自動で読み込むことで、Evernoteに取り込んだ情報がすぐに予定が反映されるようになっている。いったん予定として作成したデータは、インフォテリアのサーバーから削除されて残らない仕組みになっているそうだ。

逆に、SnapCalに登録された予定をEvernoteに書き出す機能も搭載。たとえばSnapCal内の予定のメモ欄に当日のイベントの内容書き込んだり、写真を付け加えたりといった編集を加え、日記や備忘録代わりに使っている場合に威力を発揮する機能で、予定の詳細画面からEvernoteアイコンをタッチするだけで、その予定データをノートとして作成してくれる。

Twitterとの連携では、たとえばフォロワーに通知したいイベント情報など、自分の予定に登録したものを簡単に投稿できるようになっている。そうして投稿されたスケジュールは、そのまま自分のSnapCalに取り込むことが可能だ。

カレンダー機能としては、1カ月表示でも各日付に予定の内容が表示されるようになっており、視認性が向上。左右にフリックすることで月移動ができる。週表示、1日表示、スケジュール一覧表示も選択できる。1カ月表示の時に本体を横に傾けると、画面左側に大きくカレンダーが表示され、右側には選択した日付の1日表示が行われる。前述の通り複数カレンダーもサポートし、通常のカレンダーアプリとしても非通用十分な機能を備えている。

横向きにすることで、1カ月表示と1日表示を混合して表示できる

1日表示。Evernoteアイコンが付いているのがEvernoteから取得された予定

週表示

イベント単独表示。画面下部にある「ツイート」アイコンでTwitter投稿、その右のEvernoteアイコンでEvernoteに投稿できる

インフォテリアは、TwitCalを350円の有償アプリとして販売してきたが、「パーソナルクラウド連携の強化」に伴い、ユーザー層の広がりを重視して無償化に踏み切り、その代わりにアップルの広告モデルであるiAdを同社として初めて導入した。広告を外したい場合の課金も115円と実質的に値下げしている。

さらに日英など7カ国語に対応し、海外でのユーザー層の拡大も目指す。すでにTwitCalでも海外ユーザーを獲得していたが、当初目標だった全体の内の比率35%に対して10%程度と伸び悩んでおり、今回のバージョンアップでさらに上積みしたい考え。Evernoteとの提携で、SnapCalはEvernoteの連携アプリ紹介機能「Tank」にも採り上げられるほか、海外へのマーケティングも強化していくそうだ。

藤縄氏は、「企業として事業ドメインで考えると、アプリは100万ダウンロード以上にならないと難しい」との認識を示し、機能向上と無償化によって100万ダウンロードを目指す。当初3カ月は世界で10万ダウンロードを目標としている。

今回の会見は米EvernoteのCEO・Phil Libin氏も参加しており、「Evernoteとしては初めてのカレンダーとの連携を実現した」点を強調。Evernote、Googleカレンダー、Twitterとの連携で「いつでもどこでも情報を利用できるクラウド・オンプレミスを実現したのがSnapCal」だとアピールしている。

インフォテリア代表取締役社長・CEOの平野洋一郎氏(左)とPhil Libin氏