ソフトバンクは20日、都内にて法人企業向けセミナー「SoftBank Days 2010」を開催した。ビジネスシーンにおけるiPadを活用した革新的なワークスタイルやソリューション事例について紹介する催しで、企業経営者や医療関係者などの講演に来場者は熱心に耳を傾けていた。
セミナーでは始めに孫正義ソフトバンク代表取締役社長が登壇し、「iPadが変えるワークスタイル」と題した基調講演が行われた。講演冒頭で孫社長は、iPadを持ってからPCを全く使わなくなったというエピソードを紹介。そして、会議を開くほどでもない事案に関して関係者に承認を求める稟議について、ソフトバンクでは20数年前から紙を使わず、電子稟議システムを導入していたという事実も明らかにした。48時間以内に返事がない者は、稟議に参加する資格がなくなるのだという。経営はスピードを重視しなければならない、それには常に携帯できるiPad、iPhoneのような端末が非常に役立つと強調した。現在、海外出張に行く際もiPadを持って行くのだという。
ソフトバンク通信3社では全社員向けに、総計2万台のiPhoneとiPadを配布したという。その結果、残業は1人当たり1日平均32分(月33,000円)の削減につながり、時間創出には1日平均50分(月52,000円)の効果があった。また、ペーパーレスによる紙と印刷費用の削減費は、1人当たり月10,000円。企業全体では、年間で4.5億円の削減を実現できたとのことだった。
セキュリテイの問題で、仕事用のPCを家に持ち帰らせない企業が多い昨今。iPadは、端末を紛失したときに、ロックをしたりデータを消すことのできるロック・アンド・ワイプ機能、社員が使うPCにデータを入れず、サーバーでファイルなどを管理するシンクライアントシステムにも対応しているという。
孫社長の講演の後、20分ほどの休憩を挟み、4つのセッション会場で合計13もの講演が行われた。参加した企業・団体は、凸版印刷、AIGエジソン生命保険、さくら総合病院、ソフトバンクBBなど。
神戸大学の医学研究科 杉本真樹氏の講演では、医療現場にiPadを積極的に取り入れている事例が紹介された。同氏によると、医療従事者が自分で必要なアプリを作成できる点が魅力だという。Medical Appsは、すでに4,000アプリを超えているとのことだった。また、医師の研修で利用されている様子、iPadで患部を確認しながら手術している様子、レントゲン写真を映したiPadを手に、医師が病床の患者に病状を説明している様子、パソコンの持ち込めない救急災害ヘリ上でiPadが活躍している様子などが紹介された。
他の会場では、ガリバーインターナショナルで実際に行われている、車の買取・販売時にiPadを活用して顧客に車の詳しい説明をする営業スタイルや、小学館で取り組んでいるiPadへのコンテンツ展開事例などが紹介されていた。