セブン銀行とNECは18日、新型ATM(第3世代ATM)の記者発表会を開催した。第3世代ATMでは、紙幣処理速度が2倍になったほか、省エネモードから復帰するまでの待機時間がなくなり、よりスピーディーに取引を行うことが可能になっている。

第3世代ATM(写真左)。第2世代ATM(写真右)とくらべるとよりコンパクトになっていることが分かる

第3世代ATMは、利用者の利便性と環境性能をさらに追及した次世代ATM。セブン銀行の安斎隆会長は「我々にとってATMは経営の根幹。第3世代ATMの導入にあたっては、お客様のニーズを第一に、第二には環境変化を踏まえ、世の中の期待に応えるためCO2、消費電力をいかに抑えるかを考えた」と強調した。

これまでの第2世代ATMと比べ、紙幣処理速度は6枚/秒から12枚/秒と2倍にアップ。省エネモードからの復帰時間は7.6秒から0秒、次の処理への準備時間は9.5秒から2.8秒と大幅短縮された。これにより、出金・入金にかかる時間は従来のおよそ3分の2に、1時間あたりの利用可能件数は80件から100件に増加する見込みだ。セブン銀行の二子石謙輔社長は「利用時に感じるイライラ感解消は重要な改善点だった。第3世代では紙幣を数えるスピードが従来よりほぼ2倍なので待ち時間も短縮される」と説明した。

たとえば1万2,000円を出金時、第2世代ATMより12秒も短縮されるという

出金・入金と続けて取引を行うと差は歴然

環境配慮では、第2世代では30分間取引がないと省エネ稼働に切り替わったが、第3世代ATMでは取引時間以外は常に省エネモードとなるように変更。取引画面やセカンドディスプレイのバックライトをLED化するなどし、削減電力量は1台あたり約1,200kWh/年(現行機比約48%削減)、削減CO2排出量(1万5,000台換算)は年間約7,118t(CO2排出量を1kWh=0.391gとして計算)を実現する。

サイズは、第2世代ATMよりコンパクトに。セカンドディスプレイの高さは第2世代ATMとくらべて16cm(167cm→151cm)低く、操作画面の高さは5cm(125cm→120cm)低くなった。さらに操作画面の位置・角度を変更。斜めから見えなくなる画面・背後確認ミラーといった第2世代の機能はそのままに左右の「ついたて」に守られる空間を約2倍に広げたことで、周囲から画面や操作が見えずらくなり、プライバシー性を向上させている。

カード紙幣の取り忘れを注意喚起するため、第2スピーカーや取り忘れ防止センサーを追加。ATM上部に新たにカメラを設置し、取り忘れ時や警報発生時にデータとして記録するなど、利用者とAMT周りのセキュリティを確保する。

第3世代ATMは、11月より八王子など西東京地区で約50台をテスト設置。2011年3月からは東京都を中心に順次導入を開始する(3月中に約300台)。2011年度には東京都、山梨県、静岡県を中心に約3,000台を導入し、2015年度上期中には全台入れ替える予定としている。

写真左からセブン銀行 安斎隆会長、NEC 木下学常務、セブン銀行 二子石謙輔社長