昨日の海外市場

アジア時間のMAS(シンガポール金融管理局)の動きを受けたドル売りの流れの後、欧州時間にドル円がついに80円台に突入した。ただ、その後のドル売りの後押しは少なく、むしろ利益確定の動きがでやすい展開となった。市場の一部ではオプション取引に絡んだドル買いという観測もあった。

その後発表された米貿易収支、卸売物価指数、新規失業保険申請件数の数値が企業にとってはややマイナス要因と捉えられた上に、住宅差し押さえの問題に絡んで金融関連銘柄が軟調に推移したことで、株式市場は全般的に上値が重たい展開となった。

その後為替・株式市場はもみ合いとなったものの、米30年債入札を受けて米金利が上昇したことから、為替市場ではドルの買い戻し(利益確定?)となった。

注目されていたグーグルの決算発表が市場の予想を上回る内容となったことから、時間外取引で約9%の上昇を見せた。

本日の主要経済指標

・09:30 (日) 日銀支店長会議 白川総裁挨拶要旨公表

・18:00 (ユーロ圏)8月貿易収支

・18:00 (ユーロ圏)9月消費者物価指数 改定値

・21:30 (米)9月消費者物価指数

・21:30 (米)10月NY州製造業業況指数

・21:30 (米)9月実質所得

・21:30 (米)9月小売売上高

・22:55 (米)10月ミシガン大消費者信頼感指数 速報値

・23:00 (米)8月企業在庫

・N/A (米)財務省為替報告書提出期限(予定)

要人発言

・15:00 (日)白川日銀総裁 全国信用組合大会で挨拶

・15:15 (日)日銀 大阪支店長会見

・16:50 (日)日銀 名古屋・札幌・福岡3支店長会見

・N/A (中)中国共産党 第17期中央委員会第5回全体会議(5中全会)開催

・21:00 (米)ロックハート米アトランタ地区連銀総裁 Q&Aセッションに参加

・21:15 (米)バーナンキ米FRB議長 講演

・Q3 General Electric

アジア時間

為替市場、株式市場、それぞれの市場参加者によってまちまちのスタンスとなりそう。欧州も含め海外株式市場での多様な展開を見る限りでは、資源・食料品価格の上昇を受けた物価上昇・コスト上昇という点では、企業マインド的には慎重姿勢になる可能性がある。また、米市場で話題になっている住宅差し押さえに関する問題が金融銘柄に対し重しとなっている等、セクターによって温度差が出てきている。新興国において好調な成績を発表している鉱山・IT関連においてはプラスと見るも、強弱材料を受けて日本及びアジア市場でも温度差が出てきやすいか。

こういった中で注目されるのは昨日のMASの動き。昨日ドル円が80円台に突入した一つの要因ともとれる。円高に対する警戒感がある中でのMASの行動だったため、日本側としては歯がゆいに違いない。輸出関連企業にとってはマイナス要因だが、アジアへの資本流入・活況を呈しているという点で見れば、アジア進出を積極的に行っている企業・セクターにとっては有利か。アジア株式市場は底堅いと見る向きが多い中で、日本市場の展開は横ばいになるのであろうか。

一方、為替市場ではドル売りが若干一服しやすいかもしれない。今晩はバーナンキFRB議長の講演や米経済指標が複数控えているという点もあるが、米金利が昨日の入札を受けて上昇していることから、金融緩和をある程度織り込んできた市場としては格好のドル買い戻し材料。ましてや、11月のFOMCにおいてどの程度の金融緩和を行うのかも不透明な中で、FRB議長がどのようなコメントを発するか確認できるまでは慎重にならざるを得ないか。

ユーロ圏も含めて物価に対する警戒感が出ている中で、過渡の緩和スタンスに偏れば過去の日本のように修正が難しくなるという見方もあり、国内外いずれの要因を中心にコメントされるのかが注目されている。その上、本日は米財務省からの為替報告書の提出期限とされている。対中国の強気のスタンスが盛り込まれるかという点も不透明。週末を控え、更にイベント盛りだくさんということもあり、アジア時間では調整局面が優勢か。これまでのドル売りの流れの中での調整ポイントを抜けることにならなければ、レンジ取引になりやすい状況ともいえる。