ダイソンが提携する慈善団体・ジェームズ ダイソン財団が主催する国際デザインアワード「第5回James Dyson Award (ジェームズ ダイソン アワード)」の最優秀賞受賞作がこのほど、発表された。
ジェームズ ダイソン アワードは次世代を担うデザインエンジニアを奨励し、その創造力を刺激することを目的として設けられた国際的なデザインアワード。今回、「日常の問題を解決する様々なアイデア」をテーマとして開催された同アワードの最終選考に残った15作品の中から最優秀賞を受賞したのは、シドニー出身の工業デザイン科卒業生サミュエル・アデロジュ氏による、多数の人命を救える可能性を持つ救命浮き輪発射装置「LONGREACH(ロングリーチ)」だ。
ジェームズ・ダイソン氏が"発明家"として選んだアデロジュ氏のLONGREACHは、緊急用救命浮き輪を発射して最大で150メートル先の海上に飛ばすことが可能な装置。浮き輪は破裂を防ぐため、水に接触すると瞬時に膨らむ疎水性の発泡体で作られており、夜間の使用に備えて信号灯も装備されている。
ダイソンの創業者である、ジェームズ・ダイソン氏。「LONGREACHはとても重大な課題をスマートに解決しています。人命救助という最も重要な課題の時には、製品の機能性否か以上の必然性がそこにはあります」とコメントしている |
LONGREACH開発のきっかけは、アデロジュ氏が「陸軍予備軍で訓練中、手りゅう弾と照明騨の発射兵器の実演を見たこと」。「手りゅう騨の発射装置の推進技術について学んだ後、着水後たったの15秒間で40倍の大きさに膨らむ物質を見つける必要がありました。4カ月間の実験を経て疎水性の発泡体を発見すると、すぐにLONGREACHのコンセプトを発展させることができました。ジェームズ ダイソン アワードを受賞したことで、試作品の開発費とテストを続ける費用を捻出できます」とアデロジュ氏は受賞の喜びを語っている。
なおLONGREACHを開発した、アデロジュ氏と出身校であるニューサウスウェールズ大学理工学部には賞金が贈られるほか、アデロジュ氏はダイソンの研究開発センターを見学し、ダイソンの技術者から設計プロセスについて学ぶ機会も与えられるという。
このほか、第2位には飲料水生成装置付き救命ボート「SEA KETTLE」、第3位には心肺機能蘇生ベスト「REAX」が選出されている。受賞作の詳細はこちら。