為替市場においては「おそらく当面はドルが弱い」として、「政府が放っておくかの問題だが」と前置きした上で、放っておけば80円割れも考えられると述べた。日銀の為替介入については、「日本政府がどれだけ介入しても、ほかの通貨でドルが売られればそちらに引っ張られる。このまま介入を続ければドル円はなんとか下げ止まるだろうが、一定で動かなくなる。ただし、クロス円ではやや円安になるだろう」と予測した。
日銀の為替介入については、「単独介入にせよ協調介入にせよ、為替相場を政策としてもっていくのは非常に難しい。政府が相場をコントロールできると思っていることに間違いがある。どっちがやっても結局一緒。介入してもすぐには効果はないが、数カ月から1年以上かけてじっくり取り組めばいずれ効果が現れる。そうすれば、どこかで円安に向かう局面はいずれ訪れる。少なくとも年越えまではそういう戦いになるのでは」と話した。
また、今井氏は将来的な話と前置きした上で、「円という通貨は暴落するかもしれない。そのうち200円ぐらいになるのではないかという危惧もある」と懸念を表明。その理由として今井氏は人口減少を挙げ「人口が減っていく国の通貨はいずれ弱くなる」と指摘。「1年ぐらいは円高傾向だが、長期的には円安になるだろう」と述べた。
通貨ペアについて、今井氏はチャートを見ながらそれぞれ説明。「ドル安になってきているので、ユーロが下がったりする調整局面では冷静にドルを売っていけばいいのでは。クロス円は春先すぎてから今年いっぱいもみあい。豪ドルのようにしっかりしている国の通貨は強くなるが、NZドル・カナダドルは当分だめ。ユーロは反動分戻ってきているが、僕は頭打ちと思う。ポンドはおすすめできない」と見通しを示した。
なお、今井氏が「ひとつだけはっきり言えること」としてあげたのが金の上昇。「金融緩和が世界中で起き、金余りの状況にある。通貨の価値が下がれば世界全体では実物資産に向かう。典型例は金だ」と1,500~2,000ドルまで上がっていく可能性に言及した。
最後に今井氏は来場者に対して、「現状としてサインはでていないが、いずれ何かの変化が起きるのでその時は飛びついてほしい」と呼びかけた。具体的に米雇用では「失業率・非農業部門雇用者数が、一般的には10~15万人の増加だと景気回復基調になる。そうなると失業率が9%を切るので変わってくる。長期金利が上がり始めるので相場が反転するだろう。ただし、気をつけないといけないのが、特殊要因によって臨時雇用分が上乗せされる場合があるということだ」と話した。また、ヨーロッパについては「ヨーロッパは一番の信用市場なので、格づけの変化が大きなポイントになる。これをよく見ておく必要がある。経済指標には反応しないだろう。ヨーロッパは国が危ないか危なくないかそれぞれのポイントが違ってくる」とした。