財務省は8日、8月の国際収支状況(速報)を発表した。海外とのモノやサービスの取引状況を示す「経常収支」は1兆1,142億円の黒字。前年同月比は688億円(5.8%)減少した。2カ月ぶりの減少。貿易収支が15カ月ぶりに減少したことが主な要因。

「所得収支」の黒字幅が拡大し、「サービス収支」の赤字幅が縮小したものの、「貿易収支」の黒字幅が縮小したことから、経常収支の黒字幅が縮小した。

貿易収支は1,959億円の黒字。輸入の増加が輸出の増加を上回ったことから、前年同月比で1,062億円(35.2%)黒字幅が縮小した。輸出は4兆9,316億円で同6,991億円(16.5%)の増加。輸入は4兆7,357億円で同8,053億円(20.5%)の増加だった。輸入の増加は9カ月連続、輸入の増加は8カ月連続となる。同省関税局がまとめた8月分の貿易統計によると、米国向け自動車輸出の伸び率が下がり、輸入では液化天然ガス(55.9%増)、鉄鉱石(106.8%増)、非鉄金属(54.6%増)などの資源取得の増加が目立った。主要地域別では、アジアからの輸入が21.8%増、大洋州からが41.3%増、中東欧・ロシア等からが81.6%増となっている。

サービス収支は949億円の赤字。前年同月比では150億円の赤字幅縮小となった。特許等使用量の受取増加などで、「その他サービス」の黒字幅が拡大した。

所得収支は1兆1,075億円の黒字。前年同月比では470億円(4.4%)の黒字幅拡大。証券投資収益に係る配当金および債券利子等の受取が増加した。増加は14カ月ぶり。

国際局為替市場課の担当者は、今回経常収支が前年同月比で減少したことについて「リーマンショックの落ち込みから回復過程にあり、急激な増加が一巡してこれからどうなのかという段階では」とし、景気の減退や円高との関係については「そういう見方もあるが、輸出の回復の伸び率より、輸入の回復の伸び率が高かったということでみている」と説明した。