スタンダード&プアーズ・レーティングズ・サービシズ(S&P)は5日、アメリカン・インターナショナル・グループ(AIG)の公的資金の返済に向けた資本再編計画の発表は、AIGとその保険事業子会社の格付け(米AIU保険、米アメリカン・ホームアシュアランスとその日本支社のAIU保険、アメリカンホーム保険を含む)に影響を及ぼさないと考えると発表した。

S&Pによれば、AIGは9月30日、公的資金の返済に向けた資本再編計画でニューヨーク連邦準備銀行と米財務省と合意に至ったと発表。同合意では、AIGはニューヨーク連銀に対する債務を予定より早く完済することで、2010年末までにニューヨーク連銀の同社の資本構造への関与はなくなり、「AIGの普通株式の財務省保有比率は高まる見通し」(S&P)という。

S&Pは、同計画の発表を受け、「AIGと事業子会社の格付けを変更することはないが、このことはAIGグループの信用力にプラスに働くとみている」。AIGはニューヨーク連銀のクレジットファシリティ(融資枠)からの借り入れ(担保付優先債務、現時点の残高200億ドル)の返済を加速し、2010年末までに全額返済する方針。これまで、完済は2013年後半になる予定だったという。

S&Pでは、「資本再編はAIGの長期無担保債務の保有者にとってもプラス」との判断を示し、「アメリカン・インターナショナル・アシュアランスの株式公開とアメリカン・ライフ・インシュアランス(アリコ)の売却の完了後、AIGのスタンドアローン信用力評価(AIG単体の信用力評価)を『BB』から『BBB+』に引き上げる可能性が高い」としている。