スポーツ漫画っていいですよね。
漫画はジャンルを問わず何でも読みますが、中でもスポーツ漫画は特に好きなジャンルの一つです。動きのある絵、バトル物にも通じる熱さ、成長していく主人公――考えてみればスポーツって、かなり漫画で表現するのに向いている題材なんですよね。
ということで今回も電子貸本「Renta!」から、お勧めのスポーツ漫画を紹介していこうと思います。
緑山大学ゴルフ部
まずは石川遼、宮里藍といった若手のスーパースターの登場で盛り上がっているゴルフから。ゴルフといいつつ、ページを開くと目に飛び込んでくるのは野球の試合のシーン。しかも大学リーグの一部二部入れ替え戦、最終試合の9回裏という、めちゃめちゃ緊迫したところから物語はスタートします。
あれ、ゴルフ漫画じゃなかったっけ……と思っていると、エースピッチャーの堂田が凡ミスをして緑山大学野球部はあっさり敗北。この結果に大学の理事長はカンカンで、何と開始14ページにして野球部の廃部が決定してしまいます。なんという急展開……!
このあまりにもあっけない野球人生の幕引きに呆然とする日高、「ホストにでもなるか」とドライな反応の丈光、そして凡ミスした張本人ながらも「就活しなきゃ」とあっけらかんとしている堂田の3人の前に、五島という男が現れこう告げます。
「丈光クンだね、ぜひキミにウチのゴルフ部に入っていただきたい」
そう、実は丈光はプロゴルファーを父に持ち、ジュニア大会での優勝経験もあるゴルフプレイヤーだったのでした!
……とまぁこんな風にして物語は始まるわけですが、この3人、いずれもゴルフが真剣にやりたいかというとそういうわけでもありません。丈光は入部だけはしたもののなぜかあまりやる気を見せないし、日高と堂田は野球ではそれなりに鳴らしていてもゴルフはド素人。しかも野球の癖がスイングに染みついてしまっているので、フォームの矯正がまた大変です。
こんな風にして、ゴルフの知識ゼロの2人と一緒に読者も成長していけるため、ルールなどは知らなくても問題なし。日高、堂田と共に少しずつ覚えていくことになります。なお、スポーツ漫画にありがちな人知を超えた必殺技などは本作には登場せず、あくまで現実路線でお話は進行していきます。
それにしてもゴルフ部に拾ってもらえたこの3人はいいとして、廃部になった野球部の他のメンツのその後が気になるのは僕だけでしょうか……。スポーツ推薦で入学した学生は廃部と同時に退学になるという話が劇中に出てきたので、むしろ1話で姿を消してしまった彼らが心配です。
カンタが大将!
続いてはサッカーから。名門・桜華高校サッカー部に特例で入部した貫太の夢は、W杯に出場することと、彼女と結婚すること。夢を目指して突っ走る元気少年・貫太の高校生活が幕を開けた――のですが……。
ええと、いきなり最初から彼女がいるスポーツ漫画の主人公って、珍しくないですか?
たとえばよくあるパターンとしては、ヒロインとの微妙な距離感がずっと続いていて、主人公が活躍すると共に彼女との仲が深まっていくケースじゃないかなと思うのです。
でも貫太は高1にしてすでに彼女持ち! なんという勝ち組! これは応援できない!
と思ったら、実は貫太はまだサッカーを始めて1年。今回の入部は本当に特例中の特例だったので、入ったはいいものの他の部員のプレーにはまるでついていけません。
そんな貫太と同じ寮に住んでいるのが、久我先輩。だらしない態度で他の部員から疎まれている久我先輩ですが、実はすごい実力の持ち主であり、彼との交流を通して貫太は着実に成長していくのでした。
他にも天才ウイングと呼ばれている市野先輩や、ロン毛の嫌味な同級生・速水、普通科女子寮のカワイイ女の子たちなど、個性豊かな登場人物が多数登場して物語を盛り上げていきます。
ちなみにサッカー以外の見どころは、なぜか毎回のように登場するお色気シーン。特に、自室で寝ている貫太がいつの間にか久我先輩のイタズラで女子寮まで運ばれ、目を覚ますとそこに下着姿の女の子が……というあまりにも強引すぎるお色気演出には、作者の強いこだわりを感じざるを得ませんでした。いくらなんでもそれは起きろよ貫太! 久我先輩もただのイタズラにしちゃ力入れすぎだし!
サムライ拳
最後は全3巻で手軽に読めるボクシング漫画をご紹介。
世界チャンプを目指してアメリカへとやってきた若きボクサー、大和武士(やまとたけし)は、ひょんなことから世界ライト級チャンピオンのジャック・ホーキンスに挑戦状を叩きつけることに。そんな武士に、ホーキンスはこう言い放ちます。
「挑戦を受けよう。ただし条件がある。わたしが指定した5人のボクサーを破ることだ」
これを受けた武士は、2人のパートナーと共にアメリカ中を周り、5人の強豪と試合することになったのでした――。
このあらすじからもわかる通り、ストーリーは最初からはっきりしていて、とにかくラスボスはホーキンスなわけです。
で、指定された5人のボクサーを武士がどう攻略し、その過程で力をつけていくのかというのがポイントなわけですが、それ以外にもちょっとホロッとくる話などもあったりして、そちらも見どころ。
さらに3巻のラストには本編とはまったく関係のない短編が3話収録されていて、これがボクシングの試合でヒートアップした読者の脳をいい感じにクールダウンしてくれます。ご覧になる際は短編もあわせて最後までどうぞ。