GPUを本格的に活用したい人向けのソリューション
こうした産業界のGPUコンピューティングの活用に向けてDellでもFermi以前よりワークステーションとしてGPU搭載モデルを提供してきたほか、2010年7月にはブレードサーバでGPU搭載をサポートした「Dell PowerEdge M610x」を発表し、2010年8月にも「Dell PowerEdge C410x」を発表するなど、積極的にGPUコンピューティングを扱うカスタマに向けた製品を提供してきた。
デルの北アジア地域 公共ソリューション本部 シニアHPCテクノロジストである橋爪信明氏 |
C410xだが、同社が「別名CloudEdgeと呼ぶCシリーズとしてラインアップした製品」(Dell日本法人であるデルの北アジア地域 公共ソリューション本部 シニアHPCテクノロジストである橋爪信明氏)である。Cシリーズはクラウド運用を行っているカスタマ向けラインアップで、C410xは3Uサイズに最大16基のGPUを搭載、最大16.5TFlopsの処理性能を実現するという。
同筐体に搭載されるのはすべてGPUであり、CPUがないため、管理用のサーバホストノードと接続することが必要となるが、最大8台のサーバを接続でき、その接続も用途に応じた台数での組み合わせなど、柔軟に対応することができる。
Dellではラックサーバ「PowerEdge C6100」とC410xを組み合わせ、ソリューションとして提供する予定で、「すでに米国にてバリデーションを終えており、販売できる状態となっている」(同)とする。
また、「Dellとしては、GPUコンピューティングは試しに使ってみようという状態から、Top500で2位に入った中国の国立スーパーコンピュータセンター(NSCS)の「Nebulae」のように、とにかくGPUを積んで、動かして活用するという動きになりつつあると見ている。アプリケーションの対応もそうした動きの後押しとなっており、結果としてGPUコンピューティングは試しに使ってみるというタイミングから産業界で実用的に活用する普及期に入ったと見ている」(同)とするが、C410xは「ホストとの接続インタフェースはPCI Express ×16が1レーンであり、搭載するGPUが増えればそれぞれに割り当てられるバンド幅は減ることとなる。結果として、すべてのアプリケーションでGPUを増やせば速くなるというわけではない」(同)というわけで、さすがに東京工業大学の次世代スパコン「TSUBAME 2.0」のレベルの大規模ノード間接続を行わないが、複数のGPUを使った演算を行いたい「GPUコンピューティングの特性をある程度理解していて、複数のGPUを活用して性能向上を図りたい人向け」のソリューションであり、そうした人の中には「すでに大学などで入れたいという人も出てきている」とするが、「これからCUDAを使ってみようという人や試しにGPUコンピューティングを活用してみようというレベルの人には向かない」(同)と言い切っており、実際にGPUコンピューティングをある程度活用してきた人や企業で、処理性能やサービスの向上などを図りたいという要望のあるところを中心に展開していければ、とした。