Appleの新広告サービス「iAd」について、広告主であるローンチパートナーからの反応と、その後の広告提供の遅れに関して、以前にレポートした。その中でファッションブランドのChanelがiAdへの出稿を見送ったことを紹介したが、また別の企業がiAdへの参加を見送ったようだ。Business Insiderの10月2日(米国時間)の報道によれば、スポーツウェアメーカーのAdidasが、広告制作へのAppleの過度の介入を理由に、広告出稿を取り止めたという。
Business Insiderによれば、Adidasが引き上げたiAd広告キャンペーンの総額は1000万ドル以上で、米Apple CEOのSteve Jobs氏がたびたび広告制作に関して注文をつけてきていたようだ。ある業界エグゼクティブの話として、AppleがAdidasによるiAd広告プランについて3度目の差し戻しを行ったことがきっかけになり、同社はiAdからの撤退を決定したという。両社は今回の噂についてコメントを拒否しているものの、ある広告代理店によれば「iAdはモバイル広告の1つに過ぎず、いろいろな可能性を模索している」と話しており、今後AndroidやBlackBerryなど、プラットフォームの対象範囲を拡大していく方向性を検討しているようだ。
iAdについて、初期のローンチパートナーは広告効果の高さに比較的満足している旨の報告を行っており、iAdバナーを設置したアプリ開発者らも非常に大きな収入を得たことが知られている。一方で初期のローンチパートナーに挙げられている企業の多くは7月1日のiAd広告配信のタイミングには間に合わず、8月中旬の段階でなお数週間以上の作業遅れが見込まれることが報告されていた。これは新しいタイプの広告という技術的制作ハードルの高さもさることながら、Apple側が広告制作に関してかなりの介入を行っており、これが遅れの最大の原因になっている可能性が指摘されている。前述のAdidasの例はその典型だろう。このあたり、新サービスの立ち上げ直後に方向性や品質を明確にしたいAppleの意向も強いとみられ、今後サービスの拡大や成功含めてバランスが必要になってくるはずだ。