インテルは30日、東京都内で定例記者会見「IAプレス・ミーティング」を開催した。今回の会見では、今月半ばに米サンフランシスコで開催されたIntel Developer Forum (IDF)の内容を受けて、次期プロセッサ・アーキテクチャ「Sandy Bridge」の技術解説が主なトピックとなっている。

ノートPCにおいて、特にCore i5の割合が伸びた。高性能品へのシフトが起こっている

最初に同社代表取締役社長の吉田和正氏より、今後の国内市場のさらなる拡大に向けた取り組みの説明があった。まずは今年9月までの現状として、日本国内市場のノートブックPCのCPUブランド別販売数量データを基に、Core i5を中心とした高性能製品の普及が進んだことが示された。また、2010年は世界中でPC販売台数が1日あたり100万台を超えるなど市場拡大が継続。この成長をさらに勢いづける製品として「Sandy Bridge」を位置付け、新たなコンピューティング体験を提供できるという性能面での優位性をアピールした。

ほか、Atomプロセッサのひろがりにも言及した。IDFで発表があったとおり、米国向けでAtom搭載ネットブックを主な対象としたアプリケーションストア「AppUp」が立ち上がったことを紹介。PCとは異なる市場へ、組み込み向けSoCの「Atom E600」や、スマートTV向けの「Atom CE4200」といった新製品が投入されることにも触れ、ノンPCの分野でも積極的にビジネスを行なっていくことが語られた。

女性向けなど、ユーザー層のさらなる獲得を狙った施策を実施

国内PC市場の活性化の施策として、既存ユーザー向けに加え、新規ユーザー層の獲得を狙い、女性向けメディアとの協力といった活動にも取り組む。また、本日の発表として、インテルが参加する、医療機器とサービスの連携で個人のヘルスケア向上を支援するNPO法人「コンティニュア・ヘルス・アライアンス」が、一般向けのコンティニュア対応サービスを開始することなども明かされた。同関連では、10月5日開催のCEATECの展示「デジタルヘルスケア・プラザ」で、成果のデモンストレーションも披露するとしている。

「コンティニュア・ヘルス・アライアンス」に関する発表もあった

来月開催のCEATECでは、関連する講演や機器のデモンストレーション展示なども行なう

続いて、同社技術本部 副本部長の土岐英秋氏が登壇し、「Sandy Bridge」の技術解説を行なった。Sandy Bridgeは、同社の「Tick-Tock」戦略で、現行最新の「Westmere」に次ぐマイクロアーキテクチャの開発コードネーム。製造プロセスは32nmだが、内部アーキテクチャが刷新されている。最も特徴的なのは、グラフィックス(GPU)など従来のノースブリッジ相当の機能が同一ダイ上でCPUと統合され、あわせてCPUコアとグラフィックスコアで共有のLast Level Cache(LLC)を備えている点だ。

「Tick-Tock」でアーキテクチャの世代にあたる「Sandy Bridge」

アーキテクチャの特徴概要と4コア製品のブロックダイアグラム

統合されるグラフィックスコア自体も従来コアから大幅進化する

ほか特徴では、Turbo Boost機能も強化。従来のTurbo Boostが動作中のコア数ごとに、それぞれ定められたbin数分のクロックアップをTDP枠内の範囲で行なうに留まっていたのに対し、新たなTurbo Boostでは、ヘッドルームさえあれば、瞬間的なものになるが決められたTDP枠を超える、より高いクロックでのTurbo動作が可能となっている。新拡張命令の「Intel AVX」の実装もパフォーマンス向上に寄与する。このAVXでは、SSEの2倍となる256bit幅のSIMD命令が処理できるとされている。

Sandy Bridge世代のTurbo Boostの動作イメージ。CPUのクロックが急上昇した際、比較的、CPUの温度上昇は"ゆっくり"推移することを利用。CPU温度がTDP枠に到達するまでのタイムラグの間、TDP枠以上の電力を供給し、TDP枠以上のクロックアップを実現する