スマートフォンは、Webブラウジングを楽しんだり、アプリをダウンロードして機能を追加したりと大変便利に利用できる。「もう、スマートフォンなしの生活は考えられない」とう人も多いだろう。

そんな便利なスマートフォンだが、弱点を挙げるとすれば「ストレージ容量の少なさ」がそのひとつだろう。iPhoneの容量は最大32GBだし、Android携帯で使えるMicroSDカードも多くが16~32GBまでだ。大量の音楽データや動画データを有しているユーザーにとっては、容量の壁は大きな課題といえる。この容量問題を解決する方法のひとつが「NAS(Network Attached Storage)」の活用だ。

スマートフォン×NASの活用法を紹介

そもそも「NAS」とは?

NASは、ネットワークに直接接続する大容量のストレージのこと。HDDなどの記憶装置と、それを制御するためのコントローラ(CPUやOS、インタフェースなど)が一体化したハードウェアだ。NASを家庭や会社のネットワークに接続することで、ファイルサーバとして使用することができ、外出先から自身のノートPCでNASにアクセスし、NAS内に保存した写真や音楽・動画データを参照したり、遠方の友人とのデータの受け渡しに利用したりできる。

最近では、パソコンやデジタル家電だけでなく、iPhoneやAndroidなどのスマートフォンでの利用に対応したNASも提供されている。これらのNASを使えば、スマートフォンで撮影した写真をNASに保存したり、NASに保存した音楽や動画データにアクセスしてスマートフォンで視聴することができる。

そこで本稿では、QNAPのNAS「TS-459 PRO」を使って、スマートフォンとNASの具体的な活用例を紹介する。

スマートフォン×NASの活用例を紹介

今回使用したTS-459 PROは、QNAPが提供する、2.5/3.5型HDDの内蔵に両対応した4ベイNAS組み立てキット。今回は、QNAPの国内代理店でもあるユニスターが販売するSSD「SEKITOBA(赤兎馬)」を記憶装置として使用している。

TS-459 Proは、2.5インチまたは3.5インチSATAハードディスクに対応した、企業向けのハイパフォーマンスNAS。HDDは最大4台搭載できる。CPUはデュアルコアのIntel Atom D510(1.66GHz)で、1GB DDR2メモリ、512MB DOMフラッシュを内蔵する。Vmware vSphere4 (ESX 4.0)認証済。iSCSI、DLNAサーバ機能を備えており、WebDAV、Apple Time Machineバックアップにも対応

こちらは、QNAPの個人 & SOHO向けNAS「TS-119」。CPUにMarvell 6281(1.2GHz)、メモリに512MB DDRII RAMを採用した1ベイ・ターボ NAS。筐体に放熱効果の高いアルミ製のボディを採用することでファンレス設計を実現している

SEKITOBAを設置したところ。なお、ユニスターのWebストア「Unistar Online」からSEKITOBA搭載の「TS-459 Pro」が購入可能だ

QNAPのNAS(ここではTS-459 PRO)には、写真や音楽、動画ファイルをアップロードし、管理・共有できる「マルチメディアステーション(Multimedia Station)」というWebアプリケーションが用意されている。このマルチメディアステーションを使って写真をアップロードすると、NASの「Qマルチメディア(Qmultimedia)」フォルダに写真が保存される。

QNAP NASのWebインタフェース。ブラウザ上で、NASへのファイルのアップロードや共有フォルダの設定、ユーザー管理などが行える

「マルチメディアステーション」でNAS内の写真、音楽、動画ファイルを管理する

保存した写真をスマートフォンで閲覧するには、QNAPにスマートフォンからアクセスするためのアプリケーション「QMobile」を利用する。このアプリを利用すれば、「Qマルチメディア」にアクセスして、写真や音楽、動画を楽しむことができる。なおQMobileアプリはiPhoneとAndroid向けに提供されている。

スマートフォンのブラウザから写真を閲覧できる

「QMobile」というアプリでも、スマートフォンから写真や動画にアクセスできる

写真やフォルダの閲覧権限を設定できる

スマートフォンでデータ容量を消費するのが音楽ファイルと動画ファイルだ。こちらも写真と同様に「マルチメディアステーション」でNASにアップロードしてしまおう。アップロードした音楽や動画は、ブラウザでアクセスして再生できる。iPhone/iPodユーザーであれば、iTunesのデータを丸ごとNASに移動して、iTunesサーバを作成することも可能だ。また、WordやExcelといった文書ファイルも「マルチメディアステーション」で管理することもできる。

ブラウザからアクセスし、音楽ファイルや動画ファイルを再生できる

Word、Excelファイルもブラウザで「マルチメディアステーション」にアクセスして開く

このほか、NASの共有フォルダの管理やユーザー管理、ファイルマネージャーでのNAS内のファイルの確認などもスマートフォンから行える。

ユーザーの管理や共有フォルダの設定を行う

「Webファイルマネージャー」でNASにアップロードしているファイルを確認することもできる

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スマートフォンとNASを活用することで、スマートフォン内のデータを泣く泣く削除することもなくなる。スマートフォンの容量問題の解決策のひとつとしてNASの導入を考えてみては如何だろうか?