ソフトバンクは29日、ソフトバンクグループ代表 孫正義氏の後継者発掘・育成を目的とする「ソフトバンクアカデミア」の公開講義を、東京国際フォーラム ホールA(東京都千代田区)にて行った。講義の模様はUstreamおよびニコニコ動画でも生中継された。
今回の公開講義には、社外の入校希望者5000名が招待された。なお、出席者の3割以上がベンチャー企業などの経営者とのことだった。講義は「第2回戦略特別講義 意思決定の極意」と題され、壇上の孫正義氏が、過去30年にわたり迫られた30もの重要な意思決定事項を紹介。それぞれのケースについて自身の成功談、失敗談を交えながら、経営者はどのような判断をすべきか、を説いていった。
例えば設問1は、「資本金1000万円の会社を立ち上げた。まだ売り上げはない。そんな折に、5000万円の現金を1週間で用意できれば、ソフトの独占販売権を得られるという話があった。経営者はA.独占契約を締結し、安定売上を確保すべきか、B.締結しないで資金を残すべきか」というもの。
設問1はソフトバンクが創業まもない頃に遭遇した事例だった。独占契約の取引先は当時パソコンソフトの最大手だったハドソン。1番有力な製品を持っている企業の独占権を得れば販売網を一気に広げることができるため、無理をして5000万円を調達し、支払ったという。
30の意思決定事項には他にも「部下の裏切り・離反」や「買収直後の危機的状況」、「巨額の負債を伴う新規事業参入」など、同社が過去に体験したいくつもの深刻なケースが取り挙げられた。その都度、「遅すぎる決断は決断しないに等しい」、「速い意思決定はリーダーの成功要因」とリーダーシップの大切さを語る孫正義氏。倒産するほどの大事件をいくつも乗り越えてきたこの創業者の言葉に、参加者は多くを学び取ったようだった。