モバイルアプリ開発者らは、Apple iOSよりもGoogle Androidのほうに未来を感じている? - こんな調査報告が話題になっている。クロス開発プラットフォーム「Titanium」のリリース元として知られる米Appceleratorが調査会社のIDCとともに2363名のTitanium開発者らを対象に行った最新のアンケート調査「Appcelerator IDC Mobile Developer Report, September 2010」によれば、長期的視点で最良と思われるプラットフォームとして58.6%がAndroidを挙げており、iOSの34.9%を上回っている。これは6月に行われた調査のAndroid (54.0%)とiOS (40.4%)よりもさらに差が開いており、Androidがプラットフォームとしての魅力をより高めつつある様子がうかがえる。
感覚的なものとしては理解できるが、今回の調査にあたってAppceleratorとIDCの2社は「なぜAndroidなのか?」という部分の解析に重点を置いたという。まずポイントとしては72%の開発者がAndroidについて「将来的に最も数が多く、多彩な種類のネットワーク対応デバイスに恵まれる可能性が高い」という理由を挙げており、この点で同じポイントを評価するiOSの25%という割合を大きく引き離している。
一方で、現時点で開発を優先するプラットフォームを挙げてもらうと、iPhone(iOS)が91%でトップ、iPad(iOS)が84%で次点、以下Android(電話)が82%、Android(タブレット)が62%、BlackBerry(電話)が34%、Windows Phone 7が28%、webOS(電話)/webOS(タブレット)/BlackBerry(タブレット)が同率で16%、Symbianが13%、MeeGoが7%、Kindleが7%となっている。また現時点で最もビジネス的機会が大きいのがiOSの75%となっており、Androidの20%を大きく引き離している。これはApp Storeなどアプリストアでの比較や、コンシューマ/ビジネスを含むすべての分野や関連項目においても、iOSがAndroidを圧倒している。
なぜ、AndroidとiOSの評価がここまで真逆になるのだろうか。これはOS部分の評価項目を見るとわかる。OSとしての機能での評価はAndroidの57%に対し、iOSが36%と低くなっている。またオープンプラットフォームなのかという問いに対してはAndroidが85%なのに対し、iOSは6%と極めて低い。さらにOracleがAndroidのJava VM実装についてGoogleを提訴した件について、93%の開発者が「影響は極小か皆無」と回答している。また、先日AppleがiOSの利用規約を緩和し、開発ツールの使用制限を解消したことについては83%がやはり「影響は極小か皆無」と回答している。つまり昨今のトレンドをみて、現時点でのiOSの優位性はあるものの、将来的にプラットフォームとしての可能性はAndroidのほうが高く、これはOracleの訴訟問題やAppleの制限緩和程度では揺るがないというものだ。こうした傾向は長期的視点と短期的視点で両プラットフォームを比較したときの差に顕著に表れており、前述のように長期的視点での割合がAndroidとiOSで59:35なのに対し、短期的視点では21:74と大きく逆転する。アプリ開発者のプラットフォーム利用傾向はそのままプラットフォームとしての魅力や盛り上がりにつながり、結果としてユーザーへと影響していくことになる。