昨日の海外市場
欧米株式は揃って下落。ユーロ圏の経済指標が低下したことに加え、5週間ぶりに米新規失業保険申請者の数が増加したことで売り圧力が強まった。また、セクター別では銀行株の下げが目立った。アイルランドのアングロアイリッシュ銀行(ANGIB.UL)の債務懸念が背景にある。ただ、米国の8月中古住宅販売件数が増加したことにより、幾分投資家の不安を和らげたことで根強い買い戻しも入り、下落幅を縮小させた。
一方、為替市場はアイルランド国債の保証コストが上昇し、過去最高を記録したことを受け、ユーロは約5カ月ぶりの高値水準から下落。この影響はリスクに敏感な豪ドルにも波及し、対ドルで再び0.95のラインを割り込む展開となっている。
ドル円も米金融緩和のインパクトから、84.20台まで円高が進行。戻りも84円ミドルレベルで上値が抑えられたまま、アジア時間を迎えようとしている。
本日の主要経済指標
・15:00 ドイツ・8月輸入物価指数
・17:00 ドイツ・9月IFO景気動向
・21:30 米国・8月耐久財受注
・23:00 米国・8月新築住宅販売件数
要人発言
・22:00 米国・デュークFRB理事の発言
・22:15 米国・カミングNY連銀副総裁の発言
・26:00 米国・ラッカー:リッチモンド連銀総裁の発言
・29:30 米国・バーナンキFRB議長、金融規制改革に関する公聴会
アジア時間
欧米株式の軟調な地合いを受け、本日のアジア株式も上値の重い展開になる可能性が出てきた。再び市場で懸念が強まっている欧州債務問題を背景にアジア時間でもユーロ売りが進行すれば、円相場全体で円高圧力強まることが考えられる。
ドル円相場では介入むなしく、米金融緩和のインパクトに飲み込まれ84.00割れの可能性強まりつつある。そのような状況の中、クロス円での円安を主導していたユーロ円でも下落すれば、日本225種へのネガティブインパクトとなろう。実際、円高懸念を意識し、節目の9500を再び割り込む展開となっている。目先の下値ポイントは112.00と111.50レベルか。特に後者は、9月21日に介入後のユーロ売りを止めた経緯があり、注目したいポイント。
また、もうひとつ注目したいのは中国の人民元問題。23日、オバマ米大統領自ら訪米中の温家宝中国首相と会談し『中国は一段の措置を講じる必要がある』との考えを伝達。温家宝首相も『「為替相場制度の改革を継続していく』と応じた。11月の米中間選挙を前にドル安政策で輸出を促進したい米国側と、米中貿易摩擦を回避したい中国側の思惑が一致したと市場が判断るすなら、円高要因の可能性がまたひとつ増えた可能性がある。今日のアジア時間では、この問題を市場がどこまで主要テーマとして捉えているのか、それを見極めるためにもドル円の動きも重要だろう。
欧米時間
直近の欧州経済指標が市場予想を下回る中、昨日はアングロアイリッシュ銀行(ANGIB.UL)の劣後債CDSが50.5%に上昇し、過去最高水準に達した。これを受け、独10年債利回りとアイルランド国債及びポルトガル国債との利回り格差は、ユーロ導入以来の水準(前者444bp、後者411bp)まで拡大したことから投資家のリスク回避姿勢が強まっている。
本日は17:00にドイツの9月IFO景気動向が発表されるが、結果如何でユーロが大きく振れる可能性もある。特に、週末ということもあり、マクロ指標が市場予想を下回った場合のネガティブインパクトに注意したい。リスク回避地合いが強まれば、安全資産の(ドイツ10年債)買いが更に加速するきっかけとなろう。
その後NYタイムに入ると、23:00に米国の8月新築住宅販売件数が発表される。先行指標である8月中古住宅販売件数が増加したことから、連日強い内容となれば、投資家のリスク許容度が縮小しつつある中、株式市場での数少ない買い要因となる可能性があるため注視したい。
一方、為替市場ではユーロ債務問題を受け、対ユーロ、対豪ドルでドルショートポジションの調整が強まっている。ただ、米金融緩和観測から米短期債利回りの下落基調が継続していること、逆に豪ドルでは将来の利上げ観測を背景にリアルマネーの根強い資金流入も観測されており、どのレベルで再びドル売りとなるか注目される。テクニカルで見ると、ユーロドルは1.3250レベル(9月高安のフィボナッチ23.60%戻し)、豪ドルドルは9月13日に窓開けた安値水準から9月22日の高値の50.00%戻し0.9445レベル、そしてドル円は84.00がそれぞれ下値ポイントとして浮上するか注目したい。