金融庁はこのほど、有価証券店頭デリバティブ取引など(証券CFD取引など)の、個人顧客を相手方とする店頭デリバティブ取引について、継続的に取引を行っている場合などを除き、法令により、その全般について不招請勧誘(※)を禁止する方針であると発表した。
※ 契約の締結について勧誘の要請をしていない顧客に対し、訪問しまたは電話をかけて、契約の締結の勧誘をする行為。現状では、店頭FX取引などについてのみ、不招請勧誘が禁止されている
金融庁では、デリバティブ取引に対する不招請勧誘規制などのあり方について、2010年1月21日に公表した「金融・資本市場に係る制度整備について」を受け、苦情などの発生状況の収集・分析を行うとともに、自主規制機関や被害者側団体などとのヒアリング・意見交換等を行い、検討を行ってきた。
検討の結果、不招請勧誘規制の対象範囲について、(1)レバレッジが高いことなど、投資金額を上回る思いがけない損失を被ることがないかといった商品性、(2)執拗な勧誘や利用者の被害の発生といった取引の実態、(3)強引な勧誘などに対し投資者の投資判断力が不十分であることなどにより損失を被ることがないか、を総合的に勘案していく必要がある、との見直し方針を決定。
この考え方を受け、有価証券店頭デリバティブ取引など(証券CFD取引など)の、個人顧客を相手方とする店頭デリバティブ取引については、「業者が自由に商品内容を設計でき、価格の透明性も低く、投資者被害が発生しやすい」とし、継続的に取引を行っている場合などを除き、法令により、その全般について不招請勧誘を禁止することとした。
また金融庁は、不招請勧誘規制の対象としない場合であっても、投資者にとってリスクなどが分かりにくい複雑な商品や、説明不足などに起因する苦情やトラブルが多数見られるような商品を販売勧誘する場合には、「法令上の説明義務などに加え、自主規制ルールによって投資者保護の充実を図っていく必要がある」との方針を策定。
個人顧客にとって分かりにくい、店頭デリバティブ取引に類する複雑な仕組債や投資信託については、適合性の原則等を具体化する自主規制ルールの策定や、顧客に対する説明の充実など、自主規制による販売勧誘ルールの強化を求めることとした。
証券CFD取引を巡っては、日本証券業協会が「CFD取引に関する規則」を策定し、協会員が行うCFD取引契約の勧誘について、店頭CFD取引に対し、「不招請勧誘の禁止」「勧誘受諾意思の確認義務」「再勧誘の禁止」を課している。