「Shock Desktop 3D」 |
好奇心が脳にとって栄養であるならば、退屈は弊害なのだろう。フリーソフトの「Shock Desktop 3D」はシンプルな3Dデスクトップであるが、タスクトレイのアイコンをクリックするだけで、退屈な平面のデスクトップから一瞬で、栄養がいっぱいありそうな3Dデスクトップへと変化させてくれる。シンプルな3Dデスクトップソフトではあるが、ファイルやフォルダの動きが滑らかなので、触っていて楽しい。デスクトップの配置状態を記憶するシステムも備えているので、うまく使えば、デスクトップを整理することで思考の整理方法としても活用できるかもしれない。
注意:本稿では、ソフトウェアのインストールを行っていますが、ソフトウェアの利用は使用者の責任で行ってください。
ソフトをダウンロードするには開発者のShock氏のWebサイトからインストーラーをダウンロードして、実行すればよい(図1/2)。対応OSは、Windows 2000 / XP / Vistaと同Webサイトには記述してあるが、筆者はWindows 7で実行している。ソフトウェアではOpenGLを利用しており、相応のビデオカードが必要となる。インストーラーの指示に従って、ソフトが起動するとデスクトップ環境が一変する(図3)。
3Dデスクトップが立ち上がった。四方は同一色の壁で囲まれている。まるで、牢獄にでも入れられたかのようなアイコン達。彼らが我々のPC作業の入り口を握っていると考えると、これからこの牢獄を脱出するといわんばかりの映画のワンシーンのごとく感じてしまう。先ほども述べたようにタスクトレイにある"P"のアイコンをクリックすると、普段のデスクトップへと瞬時に戻ることができる。ワンクリックで3Dデスクトップと普通のデスクトップに相互に切り替えられるのも便利だ(図4)。
図4 ワンクリックで3Dデスクトップと普通のデスクトップに相互に切り替え |
さて、まずこれらのアイコンはコミカルに動かすことができる。マウスのドラッグで個々のファイルやフォルダを縦横無尽に引きずり回すことも可能だし、床の上を軽快に滑ってくれるのでノートを投げるかのように四方の隅におおざっぱに区分して分けておく、といった使い方ができる。右上には"仕事関連"、左上には"趣味関連"、右下には"経理関連"、左下は"情報収集"というようにザックリとした区分で分けてしまう(図5)。当然、実際のデスクトップ環境には影響がないので、Shock Desktop 3Dの中だけでアイコンを自由に配置できるということになる。
3Dデスクトップ上の右クリックで現れるメニューでは、いくつかのカスタマイズも用意されている。[Arrange Icons]から[Auto Arange]を選択すると、ある程度の規則性をもって整列させることも可能だ(図6/7)。
まったくバラバラの状態から整頓するのは少々キツイという場合は、これでまずオートマチックに並べてから任意の並びを考えるとよい。また[Icon Type]から[Cube]を選択すると、立方体のアイコンへと変化する。こちらのほうがより3D感を断然味わえる(図8/9)。ドラッグで選択したアイコンだけに形状の変化を与えることもできるので、特定の目的のアイコンだけを異なる形状にというようにバリエーションをつけられる(図10/11)。同様にサイズの変更も可能だ(図12)。
図10 [Ctrl]キーやマウスの操作で任意のアイコンだけを選択状態にしてくことも可能だ |
図11 選択状態のアイコンのみを変形 |
[Arrange Icons]から[Stack Icons]を選択すると、アイコンを積み上げることもできる。積み上げたアイコンに別のアイコンを投げつけたりすると、バランスを崩して散らかってしまうので要注意。高く積み上げすぎても崩れることがある(図13/14/15)。
部屋は散らかる宿命にある。そう思う人は整理整頓が苦手な人なのだ。筆者も学童であったころは、母親によくよく言われたものである。「使ったら、元の位置に戻しなさい!」この言葉の裏にある意味が大人にならないとわからないとは、何とも情けない次第である。使ったものを元の位置に戻さない行為は時間の経過とともに、とんでもない"負のパワー"となって襲いかかってくる。部屋が散らかり気分がのらないのはもちろん、元の位置がわからなくなり、何かを探すたびに途方に暮れることに。
Shock Desktop 3Dでは、アイコンの配置はネーミングして記憶させておくことができる。「これだ!」と思う配置は、タスクトレイにある"P"から開く設定画面、[Icon Position]の[Create Profile]で、アイコンの配置を記憶。[Update Profile]で記憶した配置をロードできるのだ。この際にネーミングすることで複数の配置を記憶できるため、"仕事用ポジション"、"Webサーフィン集中用ポジション"、"動画閲覧用ポジション"など、その都度よく使うファイルやフォルダ、ショートカットアイコンなどを並び替えて管理するとよいだろう。
不思議なもので、いつもとアイコンの見た目が変わるだけで、ずいぶんと感覚が変わってくる。部屋の掃除を行っているときの感覚とでも言えようか。完成した形を楽しみにしながら黙々と分類したりと没頭してしまうのも面白い。各アイコンは通常のアイコンと同じようにダブルクリックで中を開くことができるし、右クリックで削除したり、ショートカットファイルではアプリケーションを起動することも可能だ。
5通りのサイズ変更と2通りの形状変更、これを組み合わせることで重要度を区分するのがおすすめの使い方だ。ご存じの方も多いだろうが、重要度や参照度に応じてキーワードを大きく表示する"タグクラウド"のようによく使うものは、存分に大きいサイズにしておくとよいだろう。キャンパスはデスクトップ領域のすべて、個々のアイコンの配置は自由自在なのでマインドマッピングのような"思考上のデスクトップ"と考えると使い方にも幅が出てくるのではないだろうか。