GNOME 3.0はおあずけに

次にシステムがどう変わったのかを紹介したい。 以下にベータ版時点でのMaverick Meerkatの主な改良点をあげる。

  • Linuxカーネル2.6.35
  • GNOME 2.31
  • Btrfsのサポート(標準はext4)
  • Ubuntuソフトウェアセンターの改善
  • 標準の写真管理ツールをShotwellに
  • Evolution 2.30.2の採用
  • マイクロブログクライアントGwibberの改善
  • サウンドインジゲータにRhythmboxのコントロール機能を拡張
  • Ubuntu Oneの使いやすさを向上

核となるカーネルにはLinux 2.6.35が使われている。2.6.35では新機能の追加ではなく、既存の機能の強化がなされており、後述するBtrfsのサポート強化やグラフィックの強化、各デバイスドライバの改良などがおこなわれている。

Ubuntu 10.04で入るはずのGNOME 3.0だったが、7月末にGnomeリリースチームが来年3月に公開すると発表したことで、Ubuntu 10.10でもおあずけが決まった。ベータ版ではGNOME 2.31が使われているが、リリース時は安定版であるGNOME 2.32が入る予定となっている。

Ubuntu 10.10からLinuxの次世代ファイルシステムのひとつとして注目が集まっているBtrfsが実験的ながらシステムパーティションで使えるようになった。インストール時に手動でパーティションを作成すれば、Btrfsを選択できる。ただし、GRUB2がBtrfsを認識できないため、/bootに使うことができない。/bootのみext4もしくはext3のパーティションを用意することで、/をbtrfsで構築できる。

/をbtrfsで構築したところ

Ubuntuソフトウェアセンターの改良、画像管理ツールがShotwellに

Ubuntuソフトウェアセンターではカテゴリの表示のほか、画面右下部に"Featured"と"What's New"という2つの新しいルック&フィールが追加された。これらのルック&フィールに改良されたパッケージや新規パッケージが表示されるようになった。また、パッケージをいつインストールしたのか簡単に確認できる履歴機能も追加された。Ubuntuソフトウェアセンターはほかにもdeb形式のパッケージのインストール時にも利用するようになった。

Ubuntu Software Centerにも細かい変更が加えられている

写真管理ツールがF-SpotからShotwellに変更されている。Shotwellに関してはFedora 13でもすでに取り入れられており、影響力の高いLinuxディストリビューションで相次いで採用されたことを考えると、今後ShotwellがLinuxにおける標準の写真管理ツールになっていくという可能性もありえる。

写真管理ツールはこれからはShotwellが主流!?

通知スペースに表示されるサウンドインジゲータはこれまでサウンドコントロールのみ設定できたが、新たにRhythmboxの操作も行えるようになった。具体的にはRhythmboxの起動や曲の再生や停止などができるようになった。

サウンドインジケータからRhytmboxの操作が行えるようになった

Ubuntu Oneの使いやすさも向上させている。Ubuntu OneはUbuntuを支援しているCanonicalが提供しているオンラインストレージサービス。以前は登録するのにブラウザを立ち上げる必要があったが、ローカルからできるツールが導入された。また、Download、ドキュメント、音楽、画像などホームディレクトリにある主要フォルダに同期機能が追加された。

オンラインストレージサービスのUbuntu Oneもより使いやすく

ほかにもEvolutionは2.30.2にアップデートされており、起動速度が向上している。ブログクライアントツールGwibberでは、なりすまし対策として導入されたtwitterの新しい認証システム機能への対応やメッセージキャッシュや設定、アカウントを保存するバックエンドが変更されている。

Btrfsに対応した"型破りなミーアキャット" そして"しゃれたイッカク"へ

今回の目玉はなんといってもBtrfsが実験的位置づけながら導入されたことだろう。UbuntuではBtrfsをデフォルトのファイルシステムにする方向で開発が進められており、ベータ版では/boot以外でなら使えるようになっている。試しに/をBtrfsにして構築してみたが、2、3日後の現在、問題なく動作している。ただし書き込みが遅く、アップデートにかなり時間がかかった。

BtrfsはFedora 13でもすでに実験的サポートの位置づけとなっている。Ubuntuをはじめ主要なLinuxディストリビューションがどのようにBtrfsに取り組んでいくのか、これから先も注視していきたいトピックといえる。

そして残念にも見送られたGnome 3.0。これはGnome開発チームのリリース延期による問題なのでどうしようもないといえる。来年4月リリース予定のUbuntu 11.04(開発コード名: Natty Narwhal)には導入されることを期待したい。

Maverick Meerkatの開発リリースも残すところ9月末のリリース候補のみ。"型破りなミーアキャット"の正式リリース版は10月10日に公開される予定だ。