財務省は8日、7月の国際収支状況(速報)を発表した。海外とのモノやサービスの取引状況を示す「経常収支」は1兆6,759億円の黒字。前年同月比は3,467億円(26.1%)増となった。経常収支の黒字幅増加は3カ月ぶりとなる。
「所得収支」の黒字幅が縮小したものの、「貿易収支」の黒字幅が拡大し、「サービス収支」の赤字幅が縮小したことから、経常収支の黒字幅が拡大した。
貿易収支は9,161億円の黒字。アジア向けを中心に、輸出の増加が輸入の増加を上回ったことから、黒字幅は2カ月連続で拡大した。輸出は5兆6,633億円で前年同月比1兆1,225億円(24.7%)の増加。同省関税局がまとめた7月分の貿易統計によると、特に自動車(27.1%増)や鉄鋼(25.0%増)、半導体等電子部品(16.8%増)の輸出増が目立っている。輸入は4兆7,472億円で同6,425億円(15.7%)の増加だった。輸出の増加は8カ月連続、輸入の増加は7カ月連続となる
サービス収支は1,778億円の赤字。前年同月比では1,068億円の赤字幅縮小となる。その他営利業務(仲介貿易等)の受取増加等により、「その他サービス」の赤字幅が縮小したことなどから、サービス収支の赤字幅は縮小した。
所得収支は1兆218億円の黒字。前年同月比では2,197億円(17.7%)減。13カ月連続の減少となる。直接投資収益に係る配当金は増加したものの、証券投資収益に係る債券利子の減少が上回ったことなどから黒字幅が縮小した。
国際局為替市場課の担当者は「リーマンショックから回復の過程にある状況。7月は、原油価格の前年比での上昇幅がかなり小さくなった。その結果輸入額の増え方が、輸出の増え方に比べ鈍くなっている」と話している。