エプソンは2日、同社のインクジェットプリンタ「カラリオ」シリーズの新製品を発表し、製品発表会を開催した。発表会の中で、セイコーエプソンの羽方忠明取締役からはカラリオプリンタが今年度中に累計販売台数3,500万台に達するという見通しが示され、エプソン販売の平野精一社長からは「インクジェットプリンタ全体のシェアで51%以上を目指す。この1%にこだわりたい」との意気込みを語った。

「暮らしの中でなくてはならない存在に」

セイコーエプソン 取締役 情報機器事業セグメント担当 羽方忠明氏

最初に登壇したセイコーエプソン 取締役 情報機器事業セグメント担当 羽方忠明氏は、エプソンのプリンタについて、「カラリオプリンタが発売されてから、今年で満15年を迎え、その間行われた印刷に関するさまざまな取り組みによって、お客様から高い支持を得ることができた。その結果、累計販売台数が今年度中には3,500万台を超える見通しである」と述べ、「プリンタが抱える使い勝手に関する課題を徹底的に解決し、もっともっとお客様との"生活密着度"を高め、生活の中に溶け込み、"暮らしの中で、無くてはならない存在へ"なれるよう取り組んでいく」という目標を掲げた。また、今季のラインナップについては、「新・カラリオの改善ポイントはお客様からの要望に応える商品になっている」とした。

羽方氏は「暮らしの中で、無くては成らない存在へ」という言葉を今季の目標として掲げた

ユーザーの要望から導かれたという今回の新「カラリオ」の改善ポイント

キーワードは「プリンター選びで、もう迷わない」

セイコーエプソン 業務執行役員 情報画像事業本部長 奥村資紀氏

次に、セイコーエプソン 業務執行役員 情報画像事業本部長 奥村資紀氏が、2010年秋の新商品の商品戦略と概要について説明した。同氏はまず「お客様価値のうち、"簡単"と"快適"に重点を置いてプリンタの開発をしている」と述べ、今年のキーワードとして「プリンター選びで、もう迷わない」を掲げた。

まず簡単さについては、迷わず操作できる簡単さが重要だとして、必要な情報のみが表示され、操作をサポートする「カンタンLEDナビ」搭載モデルをラインナップしたことをアピールした。また同氏は、無線LAN搭載プリンタを購入したユーザーの約60%が実際に無線LAN接続で使用しているというユーザー調査結果と、コールセンターへの問い合わせの上位が無線LANのセットアップについてであったことを紹介。この結果を踏まえ、今回の新モデルでは、「初めて無線LANの設定を行う人でも簡単に設定できるようなっている」と述べた。

エプソンが考える、カラリオが実現すべき"お客様価値"の図

エプソンの今年のキーワードは「プリンター選びで、もう迷わない」

また、「誰でも使える簡単さ」の一例として、2009年に発売したカラリオ・ミー「E-800」を挙げ、「パソコンを使わなくてもハガキや写真を印刷できることが受け入れられた」との分析を語り、「今年はさらに誰でも簡単に使える機能を充実させた『E-810』をラインナップした」と述べた。

さらに、カラリオシリーズが実現した"快適さ"についても言及。「どこでも設置できることを目指して無線LAN標準搭載機を拡充し、ビジネスユーザー向けに普通紙くっきりモデルを用意した」という。また、快適さの一環として、携帯機器からの印刷を推進することについて「iPad、iPhone、Androidをお持ちのお客様に印刷できるアプリケーションを用意している。従来の『ePrint』に加え、Android仕様のスマートフォンから印刷できるアプリケーション『CyPria』を用意した」としている。これらのアプリケーションは、エプソンが技術を提供した有償アプリケーションとなる。

"簡単さ"の象徴ともいえる「E-800」の後継、「E-810」

"快適さ"の例としては、無線LANの拡充や携帯機器からの印刷への対応を挙げる

同氏は最後に、「カラリオが今よりもっとお客様の暮らしの中でなくてはならない存在になることが私たちの思いであり、その実現に向けて今後の商品開発、販売活動の取り組みをしていく」と結んだ。

「全体のシェアで51%以上を目指す。この1%にこだわりたい」

エプソン販売 代表取締役社長 平野精一氏

最後に登場したのはエプソン販売 代表取締役社長 平野精一氏。同氏は2010年年末商戦の取り組みについて、「今回発表された8機種にすでに発売済みのモデルを加えた全19機種のラインナップで商戦を進める」とし、プリンタ関連市場の見通しとして「コンシューマ向けPC市場は08年から10年までプラス成長が続いた。デジタルカメラ市場は09年が不調だったものの10年度はプラス成長を見込んでいる。これを受けた形でのプリンタ市場の予測になる」と前置きしたうえで「10年度は500万台を超える」と予測した。

こういった状況を踏まえ、「複合機のシェア50%以上、コンパクトプリンタのシェア60%以上、単機能プリンタのシェア50%以上」という目標を表明。「インクジェットプリンタ全体のシェアで、51%以上を目指す。この1%にこだわって販売目標を立てて推進していきたい」と語った。

2010年度のプリンタ市場全体については、前年比105%で2008年度の水準を上回ると見込む

カテゴリ別の目標シェアもさることながら、「全体のシェア51%」の「1%」にこだわりたいという

また、「今年は複合機から複合機への買い換えが5割を超える」と予想。プリンタの買い換えサイクルの平均が5~6年であることから「2004~2005年にプリンタを購入した人をターゲットに訴求していきたい」とする。品薄が続いたカラリオ・ミーやビジネスモデルについても明確な訴求ポイントを掲げることで、さらなる顧客獲得を狙っていくと意気込みを語った。