両氏の説明を聞いた後、実際にカスタマーセンターを見学させてもらった。同センターはビルの4階から6階を占めており、SMBをサポートする部門と大企業をサポートする部門はフロアが分かれている。

ビジネスの質が異なるせいか、SMBの顧客を担当する部門のフロアのほうが大企業の顧客を担当する部門のフロアよりも元気があるような印象を受けた。

SMBの顧客を担当する部隊がいるフロア。フロア中に「顧客志向」を促すビラや看板があった

大企業の顧客を担当する部隊がいるフロア。左画面はコールセンターでは必須のコールの受付状況を知らせる電光掲示板

同センターでは、チームの下にさらに2~3人のメンバーから構成される小さなグループ「POD」を構成することで、チームワークを築いている。リーダーは成績優秀者が務め、チームをまとめている。SMBのフロアには、各PODの目標が写真入りで掲示されていた。あるチームは「顧客満足度95%以上」を目標に掲げるなど、志は高い。

またハードウェアメーカーだけあって、実機を検証できる施設も用意されている。取材当日は、実機を用いたサーバの研修が行われていた。

SMB部門のフロアに掲示されている各PODの目標

検証ルームでは、リーダーの下、熱心な指導が行われていた

また、同センターは社員が「働きやすい環境」を提供することをモットーとしているが、その一環として、リラクゼーションコーナーが設けられている。その一角には、マッサージチェアも置かれていた。

各フロアに設けられているリラクゼーションコーナー。写真ではわかりづらいが、角にはマッサージチェアもある

さて、「宮崎カスタマーセンターは主に法人をサポートしている」と上述したが、コンシューマー向けの商品であるマルチメディア対応デスクトップPC「XPS」シリーズとゲーム向けノートPC「Alienware」のサポートが開始された。

これは「顧客を大事にするという同社の戦略の表れ」と小林氏は言う。「デルと言えば、コスト追求というイメージが強いかもしれません。しかし、コストを追求しているだけではビジネスの拡大は望めません。コストだけを考えれば、大連でサポートを受けたほうが有利です」

また、「Enterpriseサポート」については9月から同社の社員が24時間365日担当する。これだって、中国でサポートを行うほうがコストを抑えられる。

一方、大連では日本語が堪能な中国人がサポートを提供しているということで、ちょっとしたトラブルがデルのサポートのイメージを低下させていたのも事実だ。同氏は「大連ではコンシューマーのサポートしか行っていないにもかかわらず、法人の顧客満足度を聞くアンケートに大連での経験が書かれたりしたこともありました。イメージは非常に大切です」と同氏。こうしたイメージを払拭するためにも、順次、宮崎カスタマーセンターでコンシューマーのサポートの対応を拡大していくという。

さらに同氏は「デルのサポーター、つまり、デルを他の人に紹介してくれるお客様を増やすことを目標としています」と語る。デルの対応に満足してくれたとしても、それを他の人に薦めてもらうことはたやすくない。だからこそ、同センターでは一段上を行くサービスを追及しているというわけだ。

同センター内を歩いている際、社員の方々とすれ違うたびに「こんにちは」という挨拶を受けた。これはルールで決まっているものではなく、社員の方々が自然に行っているのだという。宮崎の人々の「おもてなしの心」に触れたひと時であった。

近年、ハードウェアベンダーからソリューションベンダーへの脱却を図ろうとしている同社だが、宮崎発のサポートがその一助となることであろう。今後、人員増も予定されているということで、ますますの発展が楽しみだ。