キヤノンおよびキヤノンマーケティングジャパンは30日、同社のインクジェットプリンタ「PIXUS」シリーズの新製品6機種を発表し、都内で記者発表を開催した。新製品は、新「Intelligent Touch Sysytem」を搭載し、デザインと操作性の融合が大きなポイントとなっている。
冒頭、挨拶に立ったキヤノンマーケティングジャパン 代表取締役社長 川崎正己氏は、インクジェットプリンタの国内の市場動向について「買い替えサイクルの延びに伴い、2005年をピークに年々微減傾向にあるが、本年度の上半期は景気回復の影響を受け、前年比6%増に転じた。年間でも4%程度伸びると予測している。上半期のメーカー別シェアでも46%程度獲得できたと思っている。また、消耗品も市場全体の伸び率以上に成長している」と述べ、今年度の同社のプリンタビジネスの好調さをアピールした。
そして、川崎氏は「今年は『PIXUS』ブランドの誕生から10年目を迎えるが、これを節目に今回フルモデルチェンジを行い、ロゴも一新した。これによって、市場に新しい風を起こしたい」と述べた。
キヤノン 常務取締役 インクジェット事業本部長 清水勝一氏は、最近のインクジェットプリンタを取り巻く環境について、「iPadやAndroid端末などさまざまな情報機器が台頭し、インクジェットプリンタも多様なニーズに対応してきている。新PIXUSには、美しさと快適さを両立させた『Intelligent Touch Sysytem』を搭載しており、キヤノンが内部で行ったアイトラッキング試験やユーザーの操作検証でも、Intelligent Touch Sysytemの効果が実証されている。こうした、一見あたりまえのリサーチをユーザーの立場に立って深堀りすることが、ユーザー満足度実現への一番の近道で、このような地道な活動の積み重ねがPIXUS成功の原動力だ」と、キヤノンが操作性向上に力を入れており、それが同社の強みである点を強調した。
また、PC以外の用途を想定したプリンタについて清水氏は、「今回は無線LAN経由でのスマートフォン対応を行っているが、将来的には(この分野への対応を)もっと広げたいと思っている。HPさんがクラウド対応のプリンタを発表しているが、そういうのもありかなと思っている。今後は、ますますパソコン以外の世界が広がっていくだろう」と述べた。
キヤノンマーケティングジャパン 専務取締役 コンスーマイメージングカンパニープレジデント 佐々木統氏は、ユーザー動向について「プリント品位も重視されるが、最近はデザインや操作性を重視する人が増えており、2009年以降は無線LANを重視するユーザーが増えている。ただ、PCの無線接続は増えているが、プリンタの無線LAN接続はニーズは高いものの、実際接続しているのは4分の1程度だ。ここに潜在需要があると考えている」と述べ、今後無線LANが買い替え時の大きなポイントになるとの認識を示した。
また、新製品によるシェア拡大について佐々木氏は、「デザインを一新したのは2、3年ぶりで、高付加価値を提供できているので、50%のシェアは十分取れる」と述べ、新製品によって、エプソンとシェア争いで一歩リードできるとの見通しを示した。