日立アプライアンスは26日、今秋発売の冷蔵庫の新製品を発表。同日、都内で製品発表会が行われた。
このほどお披露目された新製品は、「フロストリサイクル冷却 真空チルドW(ワイド)」シリーズ8機種。容量470L以上の大型冷蔵庫で、同社独自の技術「真空チルドルーム」が搭載されているのが特徴だ。
真空チルドルームは、2007年発売の同社の大型冷蔵庫に搭載された機能で、小型の真空ポンプにより、チルド室内の空気を吸引し、約0.8気圧の真空状態にすることで食品の酸化を防ぎ、鮮度を保てるというものだ。今回のリニューアルでは、最上位機種となる「R-A6200」の真空チルドルームの容量を大幅にアップ。横幅が旧機種の約32cmから48cmに広がり、収納量では約1.5倍に増加している。
登壇した、日立アプライアンス常務取締役家電事業部長の石井吉太郎氏は、「真空チルドルームの収納量を広げてほしいという要望は多かった。しかし、これを実現するには、真空力の保持と強度に対する大きな課題があり、当社はずっと取り組んできた」と説明。従来の構造のままで横幅を広げると、真空機能により室内の上面に大きな荷重が加わるため、強度が不足してしまうことから、新製品ではケースを上下に二分割し、上面をドーム状に成形することにより、ケース上面の耐圧強度を強化する構造を新たに採用したとしている。
また、2009年モデルから搭載されている「フロストリサイクル冷却」も改良。フロストリサイクル冷却とは、冷却器に付着する霜を活用し、コンプレッサーを止めて冷蔵室と野菜室を冷却する技術だが、従来の機種では、コンプレッサーの停止時には、温かい冷媒が冷却器に流入してしまう点が問題だった。しかし、今回、新たに冷却器への経路を開閉する冷媒バルブを採用し、温かい冷媒の流入を阻止。これにより、冷却器の温度上昇を防ぎ、冷却器に付着した霜による冷却を効率よく行うことが可能になったという。
冷却器自体も大型化。従来6cmだった奥行きを7.7cmに広げることにより、伝熱面積を約25%拡大。付着した霜をさらに有効利用できるようになった。
さらに、冷気通路の開閉を行うフラップを、従来の冷蔵室、冷凍室に加えて、新たに野菜室にも追加。各室が独立して冷気を制御できるだけでなく、野菜室専用の冷気フラップでは、コンプレッサー運転時の乾いた冷気を必要以上に送らないようにし、フロストリサイクル冷却時の水分を含んだ冷気を循環させることにより、野菜の乾燥を抑えることもできる。
新シリーズでは、本体幅68.5cmと75cmのラインナップで構成される「プレミアム」タイプと「高級」タイプに加えて、よりコンパクトな2タイプを追加。横幅62cmで501Lの容量を実現した「スリム」タイプと、横幅だけでなく、高さも173.5cmに低くした「スリム&ロー」タイプが新たにラインアップされている。
従来、501L以上の機種は幅が68.5cm以上のラインアップでのみ展開していたが、薄壁化などにより、62cmという業界最小の本体幅で501Lの容量を実現。また、スリム&ロータイプでは、冷蔵室最上段の棚の高さを従来機種より3cm低い床から152cmとし、シニア層のニーズにも応える製品を用意したとしている。
このほか、新たに追加された機能としては、各家庭の冷蔵庫の使用パターンを学習して運転を制御する機能も搭載。ドア開閉の少ない深夜や留守中などにヒーターによる霜取りを行うタイミングを自動で設定し、過度な温度上昇を抑えるなど、省エネ性能も強化されている。
型式 | 定格内容積 | 横幅/高さ | 市場予想価格 | 発売予定日 |
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R-A6200 | 620L | 75cm/181.8cm | 35万円前後 | 9月29日 |
R-A5700 | 565L | 68.5cm/181.8cm | 32万円前後 | 9月29日 |
R-SF62AM | 620L | 75cm/181.8cm | 31万円前後 | 9月29日 |
R-SF57AM | 565L | 68.5cm/181.8cm | 28万円前後 | 10月中旬 |
R-SF52AM | 520L | 68.5cm/181.8cm | 26万円前後 | 10月中旬 |
R-SF48AM | 475L | 68.5cm/181.8cm | 25万円前後 | 10月中旬 |
R-S50AM | 501L | 62cm/181.8cm | 25万円前後 | 10月下旬 |
R-SL47AM | 470L | 62cm/173.5cm | 24万円前後 | 10月下旬 |