スタンダード&プアーズ(S&P)は20日、英HSBCホールディングスの長期カウンターパーティ格付けのアウトルックを「ネガティブ」から「安定的」に変更した。英HSBC銀行、香港上海銀行、米国HSBC銀行を含む同社の中核事業子会社のアウトルックも同様に「安定的」に変更した。

HSBC HDのカウンターパーティ格付け(AA-/A-1+)と個別債務格付け、中核事業子会社のカウンターパーティ格付け(AA/A-1+)と個別債務格付け(HSBC銀行のサムライ債も含む)はすべて据え置いた(なお、米HSBCファイナンス(A/ネガティブ/A-1)はアウトルック変更の対象外)。

アウトルックの上方修正は、「HSBCグループの貸倒損失は2009年にピークを打った可能性が高く、グループは今後数年間、相当額の資本を蓄積し続ける可能性が高い」とのスタンダード&プアーズの見方を反映している。スタンダード&プアーズでは、「相対的にHSBCグループの財務の柔軟性は高く、資金調達・流動性の状況も良好」とみており、これらが引き続き格付けの下支え要因になると考えている。

「HSBCグループが非常に強い事業基盤と地理的な分散により、引き続き良好な水準の利益を確保するとともに、保守的な事業成長戦略を維持する」(スタンダード&プアーズ)とみていることも一因となっている。