東京証券取引所は24日、団塊世代を中心としたシニアマーケットに特化したコンサルティング会社、シニアコミュニケーション株式(コード : 2463、市場区分 : マザーズ)の上場廃止を決定し、整理銘柄に指定することにしたと発表した。

整理銘柄指定期間は、2010年8月24日~9月24日。上場廃止日は、2010年9月25日の予定。

適用条文は、有価証券上場規程第603条第1項第6号(関連規則は同規程第601条第1項第11号a)(上場会社が有価証券報告書等に虚偽記載を行い、かつ、その影響が重大であると東京証券取引所が認める場合に該当すると認められるため)。

東証では、シニアコミュニケーションが、2004年3月期から2010年3月期第3四半期までの過年度決算訂正をすること、及びその訂正売上高並びに有価証券報告書、半期報告書及び四半期報告書に係る訂正報告書などを財務局に提出する旨の開示を行い、同社の開示の内容から、虚偽記載に該当すると認められる相当の事由があると判断。虚偽記載を行ったことの影響が重大であれば、同社株式は上場廃止基準に該当することから、2010年6月4日に監理銘柄(審査中)へ指定して投資者に周知するとともに、虚偽記載の影響が重大であるか否かについて審査を行い、以下のとおり判断した。

シニアコミュニケーションが同年7月30日及び同年8月2日に提出した訂正報告書等においては、(1)売上げの前倒し計上及び架空計上の取消しなどにより、2004年3月期~2010年3月期第3四半期までの連結累計売上高約68億円のうち、約22億円が取り消される、(2)2004年3月期から2009年3月期第1四半期までの各段階利益について、ほぼ全て黒字から赤字に転落する、などしており、「同社が訂正前に提出していた報告書などの内容は、投資者の投資判断を大きく誤らせるもの」(東京証券取引所)と判断された。

また、同社の中核事業である企業サポート事業においては、「財務担当副社長の主導により、2005年3月期から2010年3月期まで継続的に売上げの前倒し計上及び架空計上が図られ、売掛金の入金補填のために、創業当時の取締役による自己資金の拠出や、ソフトウェアの購入費用などの架空計上による資金の還流が行われていた」(東証)。

また、これらを実行及び隠蔽するにあたり、取締役らが、同社内の会計帳票のみならず、取引先から受領すべき請求書などについても、「その印章を含めて偽造するなど、極めて悪質な不正会計処理が意図的かつ組織的に行われていた」(東証)という。

加えて、「虚偽の財務諸表を前提に新規上場や公募増資が行われた点は重視されるべき」(同)。売上げの前倒し計上や架空計上などの不正会計処理を、意図的かつ組織的に上場以前から直近に至るまで継続し、この件が発覚するまで一度として適正な財務諸表を開示していなかったことを勘案すれば、「同社の上場適格性に強い疑義を抱かせるものと認められた」(同)。

東証では、シニアコミュニケーションの以上の行為は、「有価証券報告書などへの虚偽記載に該当し、投資者の金融商品市場に対する信頼を著しく毀損し、その影響は重大であると認められる」とし、同社株式を上場廃止するのが適当であるとの結論に至った。