iPhoneアプリ開発者にとって、プロモーションは非常に重要な意味を持っている。通常、アプリはApp Storeでの公開直後にダウンロード数のピークに達し、時間とともにゼロに近いレベルへと収束していく。このトレンドを打ち破り、販売数を伸ばすのは、メディア等のアプリ紹介に依る部分が大きい。ここで実際に、App Store公式ページで「App of the Week」として紹介されたあるアプリについて、紹介の前後でどうトレンドが変化したかをみてみよう。
この件についてレポートしているのは米Ars Technicaだ。サンプルとして紹介されているのはiPad版の「Uzu」というアプリで、App Storeで99セント(日本国内では115円)の有料アプリとして販売されている。これは環境アプリの一種で、マルチタッチ動作に応じて画面上の大量の小さな粒(パーティクル)が動きを少しずつ変化させつつ飛び回るという仕組みだ。動作サンプルを見ればわかるが、日本語の「渦」をモチーフにしている。このアプリは6月に公開されて以来、有料アプリの中でのランキングを少しずつ上げ、7月の4週目に入ると前述の「App of the Week」としてApp Store上で大々的にプロモーションされ、そのダウンロード数が再び急増したという。
詳細はArs Technicaの記事を参照してほしいが、それまで1日に平均365本、1週間で2,000本程度だったセールスが、App of the Weekでの紹介を機に急上昇し、ピークにあたる7月25日には5,312本にまで達したという。その後、プロモーションが終了した後は売上が段階的に減少していったものの、この1週間だけで2万5,913本の販売を達成したという。開発者の取り分が7割であることを考えれば、ここでの売上は1万8,000ドル程度ではあるが、本来であれば13週間分に相当するダウンロード数を、App of the Weekのプロモーションの力によりわずか1週間で達成できたのだ。App Storeにおけるプロモーション効果の一端を知るのに興味深いデータだといえるだろう。