米国でiPhoneのJailbreak行為が合法と認められた話題が盛り上がって久しいが、Apple側ではこうした動きを良しとしていないのだろう。米Appleが申請し、8月19日(現地時間)に公開された特許案では、iOSデバイスのユーザーが適切な利用を行っているかを判定し、場合によっては遠隔からデバイスを無効化する方法が記述されている。本来は盗難等に対応するための技術だが、AppleはこれをJailbreakに対する抑止力として考えているのではないかという分析を、英Registerが20日(英国時間)に伝えている。

特許の名称は「SYSTEMS AND METHODS FOR IDENTIFYING UNAUTHORIZED USERS OF AN ELECTRONIC DEVICE」で、最初の申請は2009年2月に行われたものだ。この特許の目的は現在使用しているユーザーが適切なデバイスの利用法を実践しているかを判定するためのもので、1人ないし複数の認定されたユーザーデータに則ってデバイスを利用しているかを識別する方法が記述されている。もし認定ユーザー以外が利用している形跡が見られた場合、クレジットカード番号や個人情報など重要なデータをリモートから抹消する、あるいはデバイスを無効化するといったことが可能になる。このように、同特許が想定しているのは盗難や紛失の際のシチュエーションということになる。だが同時に、認定ユーザーが規定の使い方を行っているかどうかを示すものとして、デバイスのハッキング行為や"アンロック(Unlocking)"、"Jailbreak"といったキーワードも散見される。AppleがJailbreakユーザーにこうした技術を応用するのではないかというのがRegisterの分析だ。

AppleのJailbreakに対するスタンスは依然として厳しく、冒頭に紹介した合法との判断にも不満を見せている。例えば、間もなく提供が噂されるiOS 4.1のアップデートでは、いくつかのJailbreak対策が施されることになるという。Jailbreakを行うツールとしてはiOSの脆弱性を利用してインターネット経由で簡単にJailbreakできる「JailbreakMe」などが有名だが、この動作に必要なiOSの脆弱性の修正が行われるようだ。このほか、いくつかの新規対策が施されるとの話もあり、当面はハッキング対策でのイタチごっこが続きそうだ。