富士通は10日、携帯電話(iモード)とPCを活用した健康サービス「深体創工房(しんたいそうこうぼう)」をスタートした。このサービスでは、携帯電話に内蔵された歩数計により自動的に活動量を取得しサーバで管理、手間をかけずに健康増進を図ることが可能だ。
対応する携帯電話には、移動方向や身体の向きをわかる「地磁気」、運動状態がわかる「ジャイロ」、歩数/活動量や移動手段を検知する「加速度」の各センサが搭載されており、単に歩いた歩数だけでなく、ゆっくり歩いた場合と走った場合といった異なる運動による活動量の違いも把握できる。これらのデータは、自動的に富士通のPHR(Personal Health Record)サーバに送られ、蓄積されたデータをグラフとして確認することもできる。また、赤外線通信機能を備えたタニタ製体組成系(BC-501)やタニタ製血圧計(BP-300)のデータも、携帯電話で受信したのち、PHRサーバに送られる。そして、蓄積されたテータをもとに作成されたアドバイスメールを受け取ることもできる。サービス利用料は無料だ。
「深体創工房」というのは、ちょっと変わったネーミングだが、よりインパクトを与えるため、この名称になったという。深体創の「深」は「まじめに、深く探究すること、「体」は「健康で健やかな生活を送る基礎」、「創」は「お客様と新しい価値を創造する」ことを表現しているという。
富士通が健康分野のBtoCサービスを開始した理由について、富士通パーソナルビジネス本部 副本部長 三竹兼司氏は、「健康増進に関する法制度化により、国民の健康意識とニーズが高まっている。富士通はこれまで電子カルテなど医療では市場を牽引してきた。今後は、国民の課題である健康への関心を富士通が得意とするセンサ技術を利用したICTによって、どう貢献できるのか考えていきたい」と語った。
当面は基本サービスのみを無料で提供し、2011年1月から有料のプレミアムサービスを提供。そして、2011年7月からは、他社のサービスとの連携を図っていく。また、メタボ対策、食事アドバイス、カロリー解析などの健康増進関連などのメニューだけでなく、今後は、痩身ダイエットや美肌ケアなどの美容分野、メンタルケアやカラーセラピーなどのメンタル分野、ゴルフ、自転車、フィットネスなどのスポーツ分野のサービスも拡充していく。そして、現在はNTTドコモ向けの富士通製携帯のみの対応だが、今後はiPhoneなど他社製携帯の利用も考えていくという。
「深体創工房」には、とりあえず自分の生活を把握してみるスタートプランである「からだはじめてコース」と、具体的に目標を定めて行動する「からだデザインコース」が用意されており、「からだデザインコース」には、1週間ごとの目標設定をクリアしながら短期間で取り組む1カ月のコースと、3カ月かけて目標を達成する中期コースがある。「短期集中コース」にはメタボ撃退など、まじめに健康に取り組むコースと、ちょい悪おやじ、セレブビューティーといった理想に向かって行動するコース、体のゆがみを整えるためのコースが用意されており、自分の性格やスケジュールに合ったコースを選択できる。
深体創工房への協力を行っている関西医科大学 医学部 教養部健康科学教授の木村穣氏によれば、生活習慣病の行動を変えていくには、本人の性格や心理特性にあったものを選択することで、大きな効果を得られるという。また、従来型の保険指導よりも、IT機能を利用したほうが効果が高いことがわかったという。
「深体創工房」に対応した携帯電話はすでに182万台が出荷されており、同社のパソコンFMVのユーザー向けポータルサイト「AzbyClub」会員は700万人、@niftyの会員は1,000万人いる。富士通では、これら既存組織への普及を図り、2012年度末には、会員数100万人の獲得を目指すという。