スタンダード&プアーズは5日、カナダに拠点を置くマニュライフ・ファイナンシャル(持ち株会社)の長期カウンターパーティ格付けを「シングルAプラス」から「シングルA」に引き下げた。
同時に、カナダの大手生保マニュファクチャラーズ・ライフ・インシュアランス(MLI)や日本のマニュライフ生命保険をはじめとするマニュライフ・ファイナンシャルの中核事業子会社および保証先事業子会社の格付けを、いずれも「ダブルAプラス」から「ダブルA」に引き下げた。アウトルックはグループ会社も含め、すべて「ネガティブ」。
格下げは、マニュライフ・グループの収益の変動性が、「スタンダード&プアーズが従来の格付けで想定する水準を上回っている」ことに基づくという。「収益の変動性は、同グループの2010年第2四半期の連結最終損益が24億カナダドルの赤字となったことでも明白」(S&P)としている。
さらに、「第3四半期に予定している保険数理上の手法と想定の年次見直しにより、多額の費用が発生する可能性があることが公表されたことも、収益の変動性の大きい状態が続く前兆といえる」(S&P)。
S&Pでは、(1)2011年も収益の変動性の大きな状況が続く(原因がヘッジされていない変額年金保証額であれ、リスク・エクスポージャーであれ)、(2)2011年に固定費用カバレッジが同格付けの持ち株会社に期待される6-8倍を下回る、あるいは、(3)自己資本が「ダブルA」の格付けで許容できる水準を大きく下回る、場合には、「さらなる格下げを検討する」(S&P)。
逆に、こうした状況に持続的に陥らず、広範な分野での競争優位と相対的に保守的な資産運用リスクプロフィールを維持した場合には、「格付けを据え置く可能性が高い」としている。