財務省は9日、6月の国際収支状況(速報)を発表した。貿易収支/サービス収支/所得収支/経常移転収支の4項目から構成される「経常収支」は1兆471億円の黒字。前年同月比は2,323億円(18.2%)の減少。経常黒字の減少は2カ月連続となる。同時に発表された2010年上半期の経常黒字は前年同期比47.3%増で、輸出と貿易収支の増加額は過去最大となった。

「貿易収支」の黒字幅が拡大し、「サービス収支」の赤字幅が縮小したものの、「所得収支」の黒字幅が縮小したことから、経常収支の黒字幅は縮小した。

貿易収支は7,690億円の黒字。輸入が原油価格の上昇などにより増加したものの、アジア向けを中心として、自動車や鉄鋼などの輸出が増加したことから黒字幅は2カ月ぶりに拡大した。輸出は5兆5,631億円で前年同月比1兆2,556億円(29.2%)の増加。輸入は4兆7,941億円で同1兆939億円(29.6%)の増加。

サービス収支は1,102億円の赤字。前年同月比では106億円の赤字幅縮小となる。出国日本人の増加などで「旅行」の赤字幅が拡大したが、特許等使用料の受取増加などで「その他サービス」の黒字幅が拡大したことから、全体では赤字幅が縮小した。

所得収支は4,621億円の黒字。前年同月比では3,943億円(46.0%)減。海外子会社からの配当金減少などにより、直接投資収益が減少したことなどから、黒字幅が縮小した。

一方、2010年上半期(1~6月)の経常黒字は、前年同期比で2兆7,380億円(47.3%)増の8兆5,262億円。米国やアジア向けを中心として自動車輸出の回復が見られ、輸出と貿易収支の増加額は比較可能な1986年以降で最大だった。

財務省国際局為替市場課の担当者は「貿易収支、経常収支のレベルはリーマンショック前の8割くらいのレベルまで戻ってきたが、海外子会社の業績にはまだリーマンショックの影響が残っており、このところ所得収支の黒字減が続いている」と話している。