米連邦取引委員会(FTC)は8月4日(米国時間)、米Intelを相手取って起こしたFTC法第5条違反訴訟に関して同社との和解合意を明らかにした。FTCの勧告には、支配的地位の悪用や反競争的な商行為を禁じる内容のほか、ディスクリートGPUのようなPCパーツのメーカーに対するIntel CPUへのアクセス確保などが含まれる。FTCの委員は同日に賛成4、反対0(棄権1)の票決で合意内容を支持。2010年9月7日まで一般コメントを受け付けた後、最終的な決定を下すことになる。
FTCは2009年12月に、IntelがCPU市場における支配的な地位を利用し、PCメーカーに対する脅迫やリベートといった手段で競合メーカーの製品を市場から不正に締め出したとして同社を提訴した。コンパイラに手を加えて競合メーカーのCPU上でソフトウエアがパフォーマンスを発揮できないようにしていたとも指摘。GPU市場においても、同様の反競争的な行為を働いたと主張していた。
FTC法は公正な競争と商取引の実現を目的に、独占禁止法よりも広範な内容を規定している。そのためIntelとFTCの合意はCPUだけではなくGPUやチップセットにも及び、またIntelの顧客や競合メーカーに幅広く影響する内容になっている。
合意案はIntelに対して「Intelからのチップの独占的な購入に応じたコンピュータメーカーの優遇」および「Intelの競合メーカーと取引するコンピュータメーカーに対する報復的な行為」を禁じている。また以下のような和解条件をIntelに課している。
AMD、NVIDIA、VIAとの知的財産のライセンス合意を修正し、Intelからの特許侵害訴訟を懸念することなく他社が共同事業や合併を検討できる自由を保つ。
2013年に失効するVIAとのx86ライセンス合意について、VIAに5年間の延長の提示。
GPUのパフォーマンスを制限しない形でPCI Expressバスを6年間は維持する。
IntelコンパイラがIntelのCPUを区別して最適化していた情報をソフトウエア開発者に開示。また非Intelコンパイラを用いたソフトウエアの再コンパイルを求めるソフトウエアベンダーに対する補償プログラムの設置。
IntelのゼネラルカウンシルであるDoug Melamed氏は「この合意は、今後もわれわれが競争を通じて顧客に優れた製品を最良の価格で提供していくためのフレームワークになる」とコメントしている。