大手書店チェーンの米Barnes & Nobleは7月30日(現地時間)、同社が販売する電子ブックリーダー「nook」の実店舗での展示スペースを拡大し、広くユーザーにアピールしていくことを発表した。全米700以上のB&N店舗に1,000平方フィート(約92平方メートル)の専用コーナーを設け、ユーザーが同端末やサービスを実体験できる機会を提供する。これは現在、nookと熾烈な価格引き下げ競争を演じている米Amazon.comのKindleに対抗する狙いがあるとみられる。オンライン専業のAmazon.comに対し、実店舗を持つB&Nならではの強みを活かしたアピール作戦だ。
現在、B&N店舗ではnookのロゴをあしらった専用ブースを用意してパンフレット配布を行ったり、2、3台の実機を展示して店員らによるデモストレーションが行われている。だがB&Nによる店舗改装が9月に完了することで、拡大された専用コーナーには数個のテーブルが設置され、来店者がタッチ&トライで試せるスペースへと様変わりする。ちょうどApple Storeにおける展示スペースに近い。米New York Timesが、同種の模様替えがすでに行われている米ニュージャージー州リビングストン店舗の様子を撮影した写真を掲載しているので参考にしてほしい。
全米に広大な店舗ネットワークを持つB&Nならではの取り組みだが、ブリック&モルタルといわれる実店舗で、それとは真逆の関係にある電子書籍とオンラインサービスの紹介を行っている点は興味深い。GoogleのNexus Oneがオンライン販売から撤退したように、実店舗での販売機会はいまだ大きいことの証明となっている。これがnook販売にどのように影響してくるかを知ることは、リテール業者にとって一種の試金石といえるかもしれない。またB&Nは店舗内でカフェの運営と無料Wi-Fiサービスの提供を行っており、これがnookサービスと合わせてどのように活用されるかも注目だ。