アジア市場概況

日本225種は、企業の好決算を背景に総じて堅調な値動きとなった。しかし、米景気減速への懸念も根強く、午後には利益確定売り優勢の展開へ。今晩発表予定の7月米ISM製造業指数を見極めたいとの思惑も、投資家の警戒感を誘発したようだ。

一方、円相場は株式市場の上昇を受け円高が一服。ドル円は高値で輸出企業の売りも市場で見られ、86円ミドルに下落してから揉み合いの展開。クロス円もボックス相場となったが、アジア株全般で上昇したことを受け、リスクに敏感なAUDも対ドル、対円で上昇。AUDは同国のCPIが抑えられていることにより来週の利上げ観測が後退している。しかし、今後の欧米企業決算次第では投資家のリスクマネーが高金利を求めAUDへと流れるのではとの見方も市場にはあり、振れやすい展開。

今晩の主要経済指標と要人の講演

・16:55 (ドイツ)7月PMI製造業(確報値)

・17:00 (ユーロ圏)7月PMI製造業(確報値)

・17:30 (英国)7月PMI製造業

・23:00 (米国)7月ISM製造業景況指数-

・23:00 (米国)6月建設支出

・23:15 バーナンキFRB議長講演

・05:00 ガイトナー米財務長官講演

今日はPMI製造業以外主要な欧州経済指標は予定されていない分、市場では米経済指標への警戒感もあり、NYタイムに入る前まで動き難いか。

ただ、欧州金融機関の決算発表が予定されており、指数インパクトの強い金融セクターの動向次第では、米市場オープン前に一波乱あるか注目したい。ちなみに、仏大手金融BNPパリバ(BNP:PAR)は、市場予想を上回る純利益(21.05億ユーロ)を確保したと報じられている。

NY時間には、ヘルスケア大手Humana(HUM)以外目立った企業の発表は見られないため、23:00に発表されるISM製造業指数の動向に市場の関心が集まりそうだ。市場予想は前回よりも低下しているとの見通しだが、個別の構成指数にまで注視したほうが良さそうだ。特に雇用Indexは、FEDが米景気減速懸念要因として挙げている以上、市場の注目度も高いと思われる。ここで市場の懸念をどこまで払拭できるか。現状、グローバル化の恩恵により米企業自体は利益を稼ぎ出している反面、それがマクロ面まで波及していない。特に雇用面では製造業で頭打ちになっている感もあり、今回の内容には注目したい。

また、米ファンダメンタルズを見る上で、ガイトナー米財務長官の講演にも注目。現在の住宅市場の動向を踏まえ、これからの金融政策の動向について話すと見られる。

なお、これまで概ね好決算だった米企業決算だが、企業業績の見通しに関しては慎重さも見受けられる。最近ではシマンテック(SYMC.O)やエヌビディア(NVDA.O)が弱気の業績見通しを示したことを株式市場は嫌気している様子。株式市場では今までマクロのネガティブ面をミクロのポジティブ面が下支えしていたという見方もあることから、企業業績の弱気見通しはマクロ面の弱さと相まって、投資家の資金が株式や商品といったリスク市場から米債や円へと流れる可能性も出てくる。

市場の関心はマクロに軸足を移しつつも、リスク回避に敏感な環境となりつつある現状、再度米企業の決算動向にも注目した方が良さそうだ。

ユーロドル

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