--製品の特徴は?
2009年7月に公開したバージョン3.0から、プラグインアーキテクチャを導入した。これにより、サードパーティのプログラムと接続できるコードを作成でき、たとえばExchangeのメールボックス1つだけをリストアするといったことが可能になる。
バックアップ機能も強化されている。フルバックアップを1度やってインクリメンタルバックアップを定期的にするところがあるが、この場合、リストア時にたくさんのテープが必要になる。最新版では、任意の日にフルバックアップした場合のリストアを提示できる。
--バックアップソフトとして、EMCの「Legato NetWorker」やSymantecの「NetBackup」などがあるが、オープンソースであるBaculaのメリットは?
プロジェクトがスタートした当初はLinuxと同様、趣味のイメージをもたれていて企業からは注目されていなかったが、Bacula Systemsを2008年に立ち上げ、サポート体制が整ったことで企業から注目されるようになった。
早期からのユーザー、Bank AustriaはインターネットでBaculaを知った企業だ。ダウンロードして使ってみた後で運用環境で動かすことに決定、現在ではNetworkerからBaculaに全面的に切り替えている。
技術面ではプロプライエタリと比較してもさほど劣らないが、オープンソースの強みはライセンスなどの制約がないこと。Bank Austriaによると、Networker導入後にテープドライブを追加することになったが、新たにライセンスとして25万ユーロが必要になったという。顧客にバックアップサービスを提供するホスティング企業の場合、拡張するたびにライセンス問題が付きまとう。米国のホスティング企業、DataPipeはこの問題から、プロプライエタリ製品からBaculaに移行し、年間数百万ドル単位を節約している。
Bank AustriaやDataPipeをはじめ、技術に敏感で革新的なアーリーアダプター企業が顧客に多い。米航空宇宙局(NASA)、仏国防省、Deutsche Postなどの大手も多く、ホスティング企業も目立つ。
--ビジネスではどのような戦略/方針をとるのですか?
われわれの哲学は、すべてをオープンソースにすること。新しいソフトウェアが作成されたらコードをプロジェクトに貢献する。コードはGPLで公開し、われわれのものでもユーザー企業のものでもなく、プロジェクトのものとなる。
オープンソースのビジネス手法は2つに大別できる。Red Hatのように、ソフトウェアをフリーにし、サポートのサブスクリプションやトレーニングを有償で提供する手法と、SugarCRMやAlfrescoのようにオープンソースの上に、プロプライエタリの追加機能を有償で提供する手法。Baculaは前者の手法をとる。その理由は、Baculaが将来にわたってずっとオープンソースで公開されることが重要と考えたためだ。
同じくオープンソースバックアップを標榜するZmandaがあるが、実際にはオープンソースで公開されている部分はごく一部で、ほとんどの機能がプロプライエタリライセンスで提供されている。
Baculaはバージョン3.0よりコミュニティ版とエンタープライズ版を導入した。コミュニティ版はRed Hatの「Fedora」に相当するもので、最新機能が利用できる開発版となる。エンタープライズ版はRed Hatの「Red Hat Enterprise Linux」に相当するもので、テスト済みの安定版となる。
重要なのは、エンタープライズ版もライセンスはGPLで、ソフトウェアそのものはフリー。サポートやトレーニングが必要な場合はサブスクリプションモデルを利用してもらうことになる。
事業は順調に成長しており、見通しとしては、2011年には黒字と赤字がイーブンになると見ている。
--オープンソース企業として、成功に必要なことは何だと考えますか?
市場のニーズにフォーカスすること。当たり前のように響くが、実際には難しい。
Baculaスタッフの多くが技術者だが、技術者とは"GUIは遅い"といってテキストエディタを好むような人たちだ。だが、市場のニーズはGUIだ。一般ユーザーにテキストエディタを薦める - つまり、押し付ける(苦笑)傾向があるが、これは間違いで、GUIという市場ニーズに応じることが大切。オープンソースはギークが牽引しているが、実際の市場にはギークばかりではない。ギークではない人のニーズを把握し、それを提供できるか、これがオープンソース企業の成功を分けると考えている。