世界の携帯キャリアらが集まってオープンなアプリケーション・プラットフォーム構築を目指す業界団体「Wholesale Applications Community(WAC)」は7月27日(英国時間)、WACを企業として組織し、AppleやGoogleが先行する携帯のアプリストア分野でWACベースのアプリストアを構築していく計画を発表した。また同じような思想ですでに活動を開始しているジョイントベンチャーの「Joint Innovation Lab(JIL)」と連携していくことも公表している。
WACの結成は今年2月にスペインのバルセロナで開催されたMobile World Congress (MWC)で発表された。日本からはNTTドコモ、米国からはAT&TとVerizon Wireless、中国からはChina MobileとChina Unicom、欧州からはDeutsche TelekomやVodafone、Orange、Telefonicaなど、業界最大手24社が参加した巨大団体で、特定ベンダー主導で進んでいる現状のアプリストア市場に切り込んでいくのが狙いとなっている。WACはGSMA (GSM Association)や、Samsung、LG、ソニーエリクソンといった大手端末ベンダーも支援にまわっており、現時点で同市場に食い込めていない残りのベンダーやキャリアがすべて集まって、AppleやGoogleに対抗している形となる。
一方で、今回WACとの連携が示唆されたJILだが、こちらはソフトバンクモバイル、China Mobile、Verizon Wireless、Vodafoneの4社によって2008年4月に設立されたジョイントベンチャーだ。こちらはアプリストアというよりも、携帯プラットフォーム間で共通のウィジェット環境構築を目指しており、すでにSDK等がリリースされている。今回のWACとの連携にあたり、JILのCEOだったPeters Suh氏がWACのCEOへと就任、WAC主導による共通のアプリ環境構築を目指していく。このほか、Vodafoneの欧州担当CEOのMichel Combes氏がWAC会長に、France Telecom代理CEOのJean-Philippe Vanot氏がWAC副会長へと就任している。また会社組織化にあたり、WACの代表メンバー企業から14人のボードメンバーが選出されている。
WACによれば、最初のWAC仕様とSDKが今年11月に公開される見込みだという。この仕様はW3Cをベースにしており、リッチなモバイルWebアプリケーション開発が可能だとWACでは説明する。またJILやBONDIが現在提供しているSDKとの後方互換性も維持されている。そのため、現在JIL等で開発を行っているデベロッパーらもそのまま同仕様に沿ったアプリの互換性を維持できるという。WACでは、これら仕様のプレビューやロードマップを9月にも公開する意向だ。