米Googleは7月23日(現地時間)、Android MarketのDeveloper Distribution Agreement (DDA)変更を発表した。賠償や補償に関する項目で、新たに保護対象として"認定キャリア"と"課金代行業者"が加えられている。同件を発表したGoogleのTim Bray氏によれば、近々Android Marketに導入される新しい課金オプション導入のための準備だといい、例えばGoogle Checkoutのようなシステムを使わずとも、NTTドコモのようなキャリアの月額料金支払いを介して決済が可能になるとみられる。

変更後のDDAはAndroidのサイトで確認できる。Bray氏が示す改定のポイントは2つで、まず「Section 13.1」に”authorized carriers”という単語が加えられたこと、そして新たに「Section 13.2」が新設された。同氏によれば、これは今後決済代行業者で発生する税金がらみの処理に関するものだという。すでに同Marketを介してアプリを配信しているパブリッシャーにはメールでの通知が行われており、最大30日まで新規約の確認と同意が行えるようになっている。

問題はその効果の部分だ。前述のように、GoogleではAndroid Marketにおける新しい決済オプションを増やすと説明しており、この場合、Android端末を提供する各国の通信キャリアが同Marketでの決済代行を行えるようになるとみられる。

現状では、こうした認定キャリアによる決済代行が行えるのはAndroid端末のローンチパートナーであるT-Mobileだけであり、ポストペイド型契約を利用しているT-MobileユーザーはAndroid Marketで使ったお金を月額料金支払いの中で決済できる。NTTドコモはXperia発表の折にドコモ版Android Marketの「ドコモマーケット」を開始しているが、年内にも決済代行を行っていくという計画を発表する一方で、現状ではアプリ紹介のみに徹しており、実際の購入はGoogleが運営するAndroid Marketへの誘導という形になっている。NTTドコモは7月13日に「spモード」というサービスの9月開始をアナウンスしているが、これにはスマートフォンにおける決済代行サービスも含まれている。これがAndroid Marketの決済代行を示すのかどうかは現時点で不明だが、今回GoogleがDDAを変更したことで、近々何らかの正式アナウンスが行われることになるかもしれない。

ただし不明なのは、実際にどのような形で通信キャリアなどサードパーティによる決済システムが導入されるかという点だ。例えば「開発者との利益配分率はどう変化するのか?」「手数料などは別途徴収されるのか?」などが挙げられる。これについて報じているFortuneのGoogle 24/7 Blogによれば、現在Android Marketは売上の7割を開発者が得る一方で、Googleが課金システム運営費を残りの3割から徴収し、さらにその残りがキャリアの取り分になっているという。もし決済代行が行われることでGoogleの取り分がキャリアへとそのまま移動すれば、それが携帯キャリアにとっての新たな収入源になる可能性がある。ユーザーにとっても携帯系の課金を1つの事業者へと一本化できるメリットがあるといえる。だが一方で、前述のように手数料等の発生などで依然として不明点があり、今後各キャリアからの具体的な課金方法についてのアナウンスが待たれる。