NHN Japanは26日、ブラウザゲームポータル「ハンゲーム」のスマートフォン対応版のリリースおよび"リアルタイム"を軸としたゲーム「リアゲー」を展開していくことを発表した。事業戦略説明会「Hangame ex 2010」で明らかにした。

ゲームの新しい概念となる「リアゲー」

森川亮 NHN Japan代表取締役社長

ハンゲームは現在、月間ユニークビジター数720万人、月間ページビュー18.6億の規模を持つWebブラウザゲームのポータルサービス。今年5月のライブドア買収による検索事業の強化に続き、リアルタイムを軸としたゲームコミュニティ事業の強化に取り組む。同社代表取締役社長 森川亮氏は「ネットの潮流としてリアルタイムを重視」と説明。とくに携帯端末における新たなハンゲームの楽しみ方を「リアゲー」という形で提供することを発表した。

リアゲーとは、「時間、場所、現象、利用者の日常に合わせてゲームの演出が変わる」(森川氏)という要素を含むものを指す。ユーザーがハンゲームで遊ぶ時間や場所、天気など現実(リアル)の状況に応じて、たとえば、出現するモンスターやその強さが変化したり、キャラクタの成長度合いに影響したりもする。

育成ゲーム『ねんどん』に"リアゲー"要素を追加。自分のいる場所で雨が降れば、ゲームでも雨が降し、キャラクタが成長しやすくなる

9月にリリース予定のリアゲー要素を持つRPG『トライフルストーリー』。現実の時間と場所によって、モンスターの強さや種類が変わってくる

さらに特徴なのが「楽しむほどにリアルベネフィット(実際の利益)がある」(森川氏)点。ハンゲームで新たに提供される「イマコレ」は、ユーザーの置かれた状況によってミッション(ミニゲーム)が発生するもので、さらにゲームクリアの報酬となるコレクションカードを割引券としても配布できるようになる。企業プロモーションの一環に利用でき、実際にピザチェーン「PIZZA-LA」を展開するフォーシーズが採用。イマコレとのタイアップで、ピザ用割引券を獲得できるキャンペーンを8月22日までの期間限定で実施する。

PIZZA-LAがイマコレとタイアップ。ピザの割引券や「えびマヨうきわ」が抽選で当たるキャンペーンなど実施する。企業プロモーションとして活用でき、すでにさまざまな企業が参加している

森川氏は、昨今のネットトレンドであるソーシャルゲームや位置情報サービスの要素を包含したものがリアゲーであると説明。「この概念が次世代の新しいゲームの概念になると確信している」(森川氏)。

説明会ではまた、ハンゲームのスマートフォン対応が発表された。Android版のリリースが開始されたほか(Android Marketで入手可能)、iPhone版も近日登場の予定となっている。

ハンゲームのオープンプラットフォーム戦略

加えてハンゲームでも、mixiやモバゲータウン、GREEなどと同様にオープンプラットフォーム化することが発表された。同分野では後発となるが、ハンゲームのプラットフォームを利用するメリットとして、PC/携帯/スマートフォンの3環境をひとつのID/キャラクタ/決済で利用できる点、高い集客力、開発者支援体制を挙げる。

ハンゲームでは、同プラットフォームでサービスを展開するパートナーの支援体制を整え(写真左)、参加を募っていく。有力ゲーム会社、スクウェア・エニックスも新作『地球オークション』(写真右)を投下することを発表した

パートナー企業に対しては、ライブドアと共同で低価格のインフラサービス(初月無料+1万円/月~)や各種APIを提供するほか、ハンゲーム優先提供のゲームに対し売上の80%を収益として配分するとした。説明会では、パートナー企業の一社としてゲーム会社のスクウェア・エニックスを紹介、同社のWebブラウザゲーム『地球オークション』が披露された。オークションの過程と財宝集めの楽しさを体験できるゲームで、近日オープンベータテストを実施する予定としている。

説明会には、ゲーム好きとしても知られる女優・モデルの加藤夏希さんが登場(この日が誕生日)。現実が反映されるリアゲーについても「憧れですよね」と興味を持った様子。ゲームの世界に住んでいる実感が得られたらうれしいという加藤さんは、ゲームのコスプレには現実にゲームの世界観を持ってきたいという思いがあり、リアゲーはその逆パターンと印象を語った。「現実をゲームに入れられると、より(ゲームと)自分との距離感が近づきますよね」