米GoogleのプログラムマネージャーAnthony Laforge氏が22日(米国時間)に、Webブラウザ「Chrome」の安定版のリリース・ペースを加速させる計画を明らかにした。現在の倍のペースに相当する6週間ごとの新しい安定版リリースを目標に、今後数カ月をかけて新しいリリースプロセスをロールアウトしていくという。
サイクルタイムの短縮について、Laforge氏は3つの狙いを挙げている。
まず、これまでよりも早くエンドユーザーが新機能を体験できるようにする。開発段階の機能を積極的に投入するという意味ではない。これまで同様に安定版においては安定動作や品質を最優先する。ただ現在のリリース・ペースでは、開発が完了したいくつかの新機能が安定版のバージョンアップを待ち続ける状態にあった。リリースの頻度が増えれば、各アップグレードに含まれる新機能の数は減少することになるが、準備が整った機能がすぐにエンドユーザーに届けられるようになる。
2つめは開発プロジェクト管理の改善だ。リリースプロセスが定期的ではない状態だと、リリースから遡った開発スケジュールを立てにくくなる。Laforge氏はこれを「いつ出るか予測できないブロンクスのタクシー」と表現している。列車のようにスケジュールに従って規則正しく出るようにすることで、時間枠の中でどのように開発していくべきか、何ができるかを計画しやすくなる。
最後は、ソフトウエアエンジニアのリリースに対するプレッシャーの軽減だ。リリースサイクルが間隔の広い大きな波だと、その波に合わせて手がけている機能を仕上げなければいけないというプレッシャーが高まる。その結果、エンジニアが無理をしたり、または安定版リリースが延期になる、もしくは間に合わずに次の大きな波まで機能の実装が持ち越しになるなどの望ましくない結果が生じてしまう。小さな波の頻繁なサイクルにすれば、そうした問題が解消される。
新しいリリースプロセスが導入されれば、Chromeはこれまでよりも短期間でバージョン番号が上がっていく(例:6.0、7.0、8.0…)。この点ついてLaforge氏は「バージョン番号が変わっていくペースを深読みしないでほしい。これは我々がリリースサイクルを進めて、これまでよりも頻繁にフレッシュなリリースをユーザーの手に届けているという意味でしかない」と述べている。