スーツやシャツ、ネクタイにはこだわっても、靴下には気を使わない男性は多いようだが、近頃の男の靴下事情は様変わりしているという。小花柄やハイソックスなど、従来の男の靴下のイメージをくつがえす商品も続々出てきているようだ。そこでタビオが展開する紳士用靴下専門店「タビオ オム」(Tabio HOMME)丸の内オアゾ店を訪ね、靴下選びのコツや、今注目の商品について聞いてきた。
スーツより一段濃い色が基本
毎日のように履いている靴下だが、イマイチ選び方は分からない。まず、ビジネスシーン用の靴下について基本的な選び方を教えてもらった。
素材については、夏は綿か麻混、冬はウールが基本。「なんとなく無難に」と黒や濃紺、グレーを選ぶ人が多いが、チャコールグレーもおすすめだという。黒ほど見た目が重くなく、いろんな色と相性がいい。茶系のスーツにも意外にしっくりなじむという。
スーツとの相性も大事だ。ビジネス用の靴下を買う場合は、合わせたいスーツを着ていけば失敗はない。気になる靴下があったら、鏡の前で座って足元に合わせ、全体のバランスを見てみよう。悩んだときはスーツの色よりワントーン濃い色を選ぶのが基本。たとえばグレーのスーツなら黒やチャコールグレーといった感じだ。ネクタイやチーフに合わせて色や柄を選ぶとよりおしゃれ度がアップするという。「タビオ オム」などの靴下専門店なら、スタッフがプロの目で靴下選びを手伝ってくれる。同店ではまた、購入した靴下に無料でイニシャルを刺しゅうしてくれる。自分のイニシャル入り靴下ならより愛着がわくはずだ。
ビジネスシーンにジワジワ浸透、ハイソックス
基本のソックスを押さえたら、次は茶色やワイン、グリーンなど少し色味のあるソックスを選びたい。地味な色が多いスーツの差し色になり、ぐっと洗練度がアップする。さらに上級を狙うなら柄ものだ。おすすめは小花柄がキュートな「花柄 グレー」(1,050円)。花柄というと可憐な女性のイメージが強いが、男性のスーツにも意外なほど相性がよいという。ちょっと気取りたい日や、結婚式などではラメ入りはいかがだろう。気分もドレッシーになること間違いなしだ。
「さすがに小花柄は……」という人は、一見ただの黒いソックスなのに、履くとリブ部分に色が出てきてストライプ模様になるリブ柄はどうだろう。柄ものとはいえシャープな印象で、できる男を演出してくれそうだ。
スーツの着こなしにこだわるなら、ハイソックスが断然おすすめだ。「えっ、女子高生じゃあるまいし」と驚く人もいるかもしれないが、実はジワジワと日本のビジネスシーンに浸透。同店でもここ毎年売れ行きが伸びているという。
「(ハイソックスは)ヨーロッパのビジネスシーンではみんな普通にはいています。スーツで商談するときなどにも足元からすね毛が見えず、ずり落ちにくく、たるみもできないので美しい立ち振る舞いができますよ。汗が直接スーツに付着せず衛生的なのも特長ですね」とスタッフ。そういえば、ゴルフ場によっては「ハーフパンツでプレイする場合はハイソックスの着用を」というドレスコードがある。やはり「男性のすね毛を見せるのはエチケット違反」という考えに関係があるようだ。
ところで気になる履き心地だが、「ハイソックスを履いていると、このタイトな締め付け感が実に心地よくなってきますよ」と男性スタッフ。ビジネスシーンではハイソックスが常識、という時代も近いかもしれない…。
オフタイムこそ靴下で思いっきり"遊ぶ"
せっかくの休日なら、洋服だけじゃなく靴下だって自由に履きこなしたい。ジーンズには思い切りポップで発色のよいもの、チノパンにはやはり定番のアーガイルやボーダー柄が合う。最近はデッキシューズが流行で、素足で履いている人も多いが、足のためにもシューズのためにも靴下は履いた方がいい。最近は素足風に履ける男性用カバーソックスの売れ行きもいいという。ローファーを石田純一風(最近は靴下を履くこともあるようだが)に履くときにも活躍しそうだ。
足の悩みがあるなら機能派ソックスを選ぼう。足のムレや臭いが気になる夏にはヒヤッとした感触の冷感糸を使ったソックスがおすすめだそう。最近はインナーにもよく使われているというこの冷感糸、綿に加工をほどこしたもので、むれにくい。ほかにも保湿成分のスクワラン配合のもの、吸水・速乾性に優れたものなどもあるので、自分に合ったものを試してみるといい。
最近はすっかり見慣れた5本指タイプもチェックしたい。デザインや素材も豊富で店頭に並んでいるものだけでも現在約100種類に及ぶという。5年くらい前からは、ビジネス用の機能ソックスとしても徐々に受け入れられるようになってきたそうだ。ムレ感が普通のソックスより断然少なく、「一度慣れるとなかなか普通のものに戻れないというお客さんは多いですよ」とスタッフ。最初は足を入れるのに苦労することもあるが、すぐに慣れるそうだ。
最後にお気に入りの靴下を長持ちさせる方法を聞いた。できれば手洗いで、洗濯機を使う場合は裏返しにしてネットに入れれば持ちが違うという。ちなみに靴下を干すならゴム部分を挟むこと。ゴム部分を下にするとゴムが弱くなりやすい。
考えてみれば体のなかでも一番酷使している部位のひとつが足。その大事な足の"お洋服"にあたるのが靴下だ。シャツやネクタイに比べ低予算でいろいろそろえられるのだから、これからはもっと靴下選びにこだわり、「男前」な足元を演出してみてはどうだろうか。