ヤマハ発動機は、"スマート・ミニマム コミューター"をコンセプトとする電動バイク「EC-03(イーシー ゼロ スリー)」を、2010年9月1日より首都圏で、10月1日より全国で発売する。価格は25万2000円。
EC-03は、バッテリーとモーターを搭載し、電動で走行するゼロエミッション・エレクトリック コミューター。50ccの原付1種免許で乗ることができる。排出ガスがゼロであることはもちろん、静粛で滑らかな走り、スリムさなどを特徴としている。バッテリーは家庭用100Vで充電でき、フル充電で43km(30km/h定地)の走行を可能とした。
ヤマハは2002年、都市部でのミニマムコミューターとして量産初の電動バイク「Passol(パッソル)」を発売し、以後、走行距離を伸ばした「Passol-L」「EC-02(イーシー ゼロ ツー)」をリリースしてきた。今回のモデルはその後継にあたる。
EC-03のパワーユニットは、リヤホイールにビルトインされた超薄型の「YIPU(ヤマハ・インテグレイテッド・パワー・ユニット)」。駆動伝達ロスが少ないダイレクト駆動方式を採用。後輪の回転数やアクセル開度から常に適切な出力を供給し、滑らかな動力性能を得ている。モーターやコントロールユニットは新設計されたもので、発進から低速走行時のトルク特性を従来モデルに比べ10~15%向上した。
バッテリーは、三洋電機製の高エネルギー密度50V新リチウムイオンバッテリーを採用。充電はプラグイン方式とし、充電装置(ケーブル)はシート後部に搭載されている。電源(アース付きコンセント)が確保できれば外出先でも充電できる。フル充電までの時間は約6時間、一充電あたりの電気代は約18円。
新設計の軽量アルミ合金製フレームは、高い剛性をもち、操縦安定性を向上。軸間距離と各パーツの重量バランスの最適化により、良好な直進性も備えた。全長は1,565mmと、駐車スペースが少なくて済むだけでなく、住宅用エレベータにも乗せられるサイズとした。
そのほか、バッテリーや充電器を総合的に制御する「YMCS(ヤマハ・ミューチュアル・コミュニケーション・システム)」、電子スロットル、運転モード切り替え(標準モード・パワーモード)、暗証番号入力による盗難抑止装置、オド&トリップの表示切替機能を備えたデジタル液晶メーター、キーで操作するポップアップ式シートロック、ワイヤー式ヘルメットホルダー、コンビニフックなどを装備している。
主な仕様は、全長1,565mm×全幅600mm×全高990mm、ホイールベース1,080mm、シート高745mm、車両重量56kg、超扁平面対向型ブラシレス交流同期モーター、最高出力1.4kW(1.9PS)/2,550rpm、最大トルク9.6Nm(0.98kgm)/280rpm、バッテリー容量50V-14Ah、タイヤ:前後60/100-12 36J、走行距離43km(30km/h定地走行)。
同社は、今回の「EC-03」の国内投入を皮切りに、2011年に台湾、欧州など、海外の電動二輪車市場へ順次進出する。これら日・台・欧地域の2010年代中頃の市場規模は、30~50万台と想定。また年間総需要が2,000万台を超えるといわれている中国にも進出を予定している。今後は電動バイクのバリエーション展開を図り、2010年代の中ごろまでに3~4機種を発表。さらに2020年に向けて、高出力モデルや、高機能モデル、低価格モデルの開発を進め、電動二輪車ラインナップの充実を図るとしている。