スタンダード&プアーズ(S&P)は12日、11日行われた参議院議員選挙の結果、連立与党が衆・参議院の"ねじれ現象"に直面する見通しであるとした上で、「日本が有意義で持続性のある財政改革を実行するには、強固で安定した政策基盤が必要であり、特に政策基盤の安定化は、『ダブルA』の格付けの維持にとって重要な要因になる」との判断を示した。
7月11日の参院選の結果、民主党が獲得した議席数は44と、改選前の54を下回った。非改選議席62を合わせた民主党の議席数は106、国民新党の非改選議席3を合わせても109と、連立与党の議席数は過半数を割った。
S&Pでは、「野党党首が連立政権への参加の可能性を否定していることから、ねじれ国会のもとで法案審議がこう着状態に陥る可能性が高い」と分析。「参院で否決された法案を衆院での再議決によって成立させるには3分の2の議席が必要だが、連立与党の衆院議席数はこれに満たないため、難しい国会運営を迫られる」とした上で、「公共部門改革や公的年金制度改革をはじめとする構造改革や、消費税率の引き上げといった政策が進みにくくなると考えられることから、日本の格付けに対する潜在的なマイナス要因となろう」との判断を示している。
さらにS&Pは、「日本のソブリン格付けの観点では、財政再建の達成に向けて歳入増加と歳出削減のための効果的な政策を打ち出すことが、現在の格付けを維持するためのカギとなる」と分析。
「仮に今後、日本政府の財政状態が一段と悪化する見通しが強まったり、財政再建に向けた具体的な施策が打ち出されない状態が長引く場合には、日本の格付けを引き下げる可能性がある」(S&P)とする一方、「政府が政権運営を安定化させ、財政再建に向けた具体的な施策を打ち出した場合には、アウトルックを安定的へ上方修正することを検討する」としている。